助成金ニュース

【第46回】在籍型出向を行う場合の助成金:産業雇用安定助成金⑤   [2021.05.28]

在籍型出向を行うときに活用できる助成金が「産業雇用安定助成金」の第3回目

今回は「受給できる額」について見ていきましょう。

(1) 支給対象期に要する経費(出向運営経費)
支給対象となる出向運営経費は、対象期間中の出向期間中において出向元事業所または出向先事業所が出向に要した次の①~⑤のいずれかに該当するものになります。
ただし、出向労働者以外の従業員に係る賃金や、4(4)「出向初期経費」に含まれるものは該当しません。
(出向運営経費に含まれる経費)
① 出向元事業主または出向先事業主が出向労働者に賃金(社会保険料は除く)として支払った(負担した)額
② 出向労働者の労務管理、人事評価に要する経費
③ 出向先事業所または出向労働者から出向元事業所への報告、面談に要する経費
④ 出向先事業主が負担した出向先事業所における教育訓練(Off-JT)に要する経費
新型コロナウイルス感染症の影響により、教育訓練を事業所内や外部の教育機関に集合して行うなどの通常の形態で実施することが困難な状況に鑑み、自宅等で行う学習形態(インターネット等を用いたものも可能))の教育訓練等も含む
⑤ ①~④の他、出向期間中における出向の運営に要すると認められる経費

(2)出向運営経費に係る助成率
助成率(中小企業:4/5 ,大企業:2/3 )
ただし、出向元事業主が解雇等を行わず雇用維持を行う場合(中小企業:9/10 ,大企業:3/4 )(※)

(※)【雇用維持要件】
1 支給対象期の末日において、出向元事業主に雇用されている労働者(雇用保険被保険者に限る)および派遣労働者として当該事業主の事業所に役務の提供を行っている者の数が、対象期間の初日の前日の属する月から遡った6か月間の各月末の事業所労働者数の平均の5分の4以上であること。
ただし、業界特有の理由等により、例年特定の季節において事業所労働者数の増減がある等、やむをえない事情のある場合には、要件を満たすものとすることができます。
2 対象期間の初日の前日から起算して6か月前から当該支給対象期の末日まで(以下「比較期間」という。)に、次の①~③に掲げる解雇(解雇予告を含む。)等を行わないこと。
なお、次の①~③については、新型コロナウイルス感染症を理由とする解雇等も含むことに留意すること。
① 事業主に直接雇用される期間の定めのない労働契約を締結する労働者の場合、解雇又は退職勧奨(労働者が同意した場合も含む。)等により事業主都合による離職をさせること
② 事業主に直接雇用される期間の定めのある労働契約を締結する労働者の場合、解雇と見なされる労働者の雇止め、中途契約解除等により事業主都合による離職をさせること
③ 対象事業主の事業所に役務の提供を行っている派遣労働者の場合、労働者派遣契約期間満了前の事業主都合による契約解除

(3)出向運営経費に対する助成額
1人1日当たりの上限額は12,000円(出向元事業主と出向先事業主の負担額の合計)です。

(4) 出向に際してあらかじめ要する経費(出向初期経費)の助成額
出向元事業所または出向先事業所において、出向期間の初日までに出向労働者に対して要した次の①~⑧のいずれかの経費を要する措置を実施した場合には、出向初期経費の支給対象となります(出向初期経費については、出向初期経費報告書(共通)(様式第6号別紙)を提出します。確認書類は不要です)。
① 出向先事業主の負担する、出向先事業所における出向労働者に係る什器・OA環境整備費用、被服費等の初度調弁費用にあたる経費(事務用消耗品(各種用紙、文房具等でその性質が長期の使用に適しないもの)を除く)
② 出向元事業所および出向先事業所の職場見学、業務説明会の実施に要する経費
③ 出向元事業所と出向先事業所の間で行われる出向労働者の労働条件、スケジュールの調整に要する経費
④ 出向元事業所および出向先事業所の就業規則等の整備・改正に要する経費
⑤ 出向元事業所および出向先事業所の出向契約書の作成・締結に要する経費
⑥ 出向元事業所および出向先事業所における教育訓練に要する経費
⑦ 出向労働者の転居に係る経費(事業主がその全部または一部を負担する場合に限る)
⑧ ①~⑦の他、出向の成立に要すると認められる経費

助成額は、同一の事業主において出向労働者1人につき1度限りで、100,000円です(なお、出向元事業主について次のアに該当する場合、また、出向先事業主について次のイに該当する場合には、50,000円の上乗せを行い、150,000円となります。)。
ア (出向元事業主の要件)次の(ア)または(イ)のいずれかに該当すること
(ア) 出向元事業所の業種の大分類が次の a~c のいずれかに該当すること
a 運輸業、郵便業(大分類H)
b 宿泊業、飲食サービス業(大分類M)
c 生活関連サービス業、娯楽業(大分類N)
(イ) 出向元事業所の生産指標の最近3か月間(計画届を提出する月の前月から前々々月まで)の月平均値が前年同期に比べ20%以上減少していること
イ (出向先事業主の要件)出向先事業所の業種の大分類が出向元事業所と異なるものであること

(5) 出向運営経費及び出向初期経費の対象となる教育訓練
出向運営経費((1)④)及び出向初期経費((4)⑥)の対象となる教育訓練は次のア及びイを満たすものです。
また、出向運営経費の算定の対象となるのはウの経費です。

ア 訓練の実施者

次の①、②のいずれかまたは両方によって行う Off-JT であること(OJT は対象になりません)。 ① 事業所内訓練
出向先事業主(出向初期経費の場合は出向元事業主または出向先事業主)自らが主催し、事業所内において集合形式で実施する訓練(外部講師の活用や社外の場所で行われる訓練であっても、出向先事業主が企画し主催したものは事業所内訓練となります)
② 事業所外訓練
公共の職業能力開発施設、学校教育法上の教育機関、各種学校、専修学校、認定職業訓練施設、その他事業主団体等が主催している訓練

イ 訓練の内容

訓練内容が、次の①~⑧のいずれにも該当するものであること。
出向先事業所における職業に関する知識と技能等を高め、職場への適応性を高めるためのものであること。
具体的には出向労働者の出向先事業所における職務の遂行に必要となる技能・知識の向上を図るものであること。(例:出向先事業所で必要となる技能・ビジネススキル習得に係る訓練等)
趣味教養と区別のつかないものではないこと。
通信教育・eラーニングによるものではないこと。
職業又は職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるものでないこと。
(例:接遇・マナー講習、パワハラ・セクハラ研修、メンタルヘルス研修 等)
⑤ 海外で実施するものでないこと。
指導員又は講師が不在のまま自習(ビデオ等の視聴を含む。) を行うものでないこと。
⑦ 通常の生産ラインにて実施されるものなど、通常の生産活動と区別がつかないもの又は教育訓練過程で生産されたものを販売等することにより利益を得るものでないこと(アの①の訓練の場合のみ。)。
⑧ 専修学校専門課程教員、職業訓練指導員免許取得者又はこれらと同等以上の能力を有する者により実施されるものであること。

※ イについては、新型コロナウイルス感染症の影響により、集合研修等の実施が難しい状況であることに鑑み、以下の取り扱いを行います。
・⑥について、自宅などで行う学習形態の訓練(サテライトオフィス等での教育訓練)も可能です。
・⑧について、自宅等でインターネット等を用いた双方向での訓練を実施するなど、通常と異なる形態で実施する場合には、社内において、自社職員である指導員が、一般的に教育的立場にあり、一定程度の知識、実務経験を有するならば、当該指導員による訓練も可能です。
・ 上記の取扱により自宅などで行う学習形態の訓練については、片方向受講・双方向受講いずれも可能です。
但し、訓練実績については、カリキュラム及び習熟度が把握できるレポート等を提出します。
(特に、自宅等で実施した訓練については、出向労働者に具体的にレポートを記載する必要があります)

ウ 出向運営経費の算定の対象となる経費
出向運営経費の算定の対象となる教育訓練経費(職業訓練を行うための施設設備の整備に要する費用、 繰り返し活用できる教材等で既に他の助成金の支給対象とされたことのあるもの及び職業訓練以外の生産ライン又は就労の場で汎用的に用いうるもの等に係る経費を除く。)については、次の①及び②によって算定した額(支給申請までに支払いが終了しているものに限る)です。
① 事業所内訓練の場合 次の a~c の合計額を、支給対象期における総受講者数(出向労働者でない者を含む。)の値で除して 1人当たりの額を算出します。
a 外部講師(社外の者に限る。)の謝金・手当(所得税控除前の金額)に係る実費
ただし、1時間当たり3万円を限度とします。
また、外部講師の旅費、車代、食費及び宿泊費並びに「経営指導料・経営協力料」等のコンサルタ ント料に相当するものは対象となりません。
b 施設・設備の借上費に係る実費
教室、実習室、ホテルの研修室の会場使用料及びマイク、OHP、ビデオ、スクリーン等訓練で使用する備品の借料であって、出向に係る訓練のみに使用したことが確認できるものに限られます。
c 教科書・教材費に係る実費
学科若しくは実技の訓練を行う場合に購入したもの又は出向に係る訓練のみで使用するものとして作成したもの。
② 事業所外訓練の場合
入学料、受講料、受験料、教科書代等に係る実費。
ただし、あらかじめ受講案内等で定められており、受講に際して必要となる経費に限られます。


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