助成金ニュース

2021年5月

【第46回】在籍型出向を行う場合の助成金:産業雇用安定助成金⑤   [ 2021.05.28 ]

在籍型出向を行うときに活用できる助成金が「産業雇用安定助成金」の第3回目

今回は「受給できる額」について見ていきましょう。

(1) 支給対象期に要する経費(出向運営経費)
支給対象となる出向運営経費は、対象期間中の出向期間中において出向元事業所または出向先事業所が出向に要した次の①~⑤のいずれかに該当するものになります。
ただし、出向労働者以外の従業員に係る賃金や、4(4)「出向初期経費」に含まれるものは該当しません。
(出向運営経費に含まれる経費)
① 出向元事業主または出向先事業主が出向労働者に賃金(社会保険料は除く)として支払った(負担した)額
② 出向労働者の労務管理、人事評価に要する経費
③ 出向先事業所または出向労働者から出向元事業所への報告、面談に要する経費
④ 出向先事業主が負担した出向先事業所における教育訓練(Off-JT)に要する経費
新型コロナウイルス感染症の影響により、教育訓練を事業所内や外部の教育機関に集合して行うなどの通常の形態で実施することが困難な状況に鑑み、自宅等で行う学習形態(インターネット等を用いたものも可能))の教育訓練等も含む
⑤ ①~④の他、出向期間中における出向の運営に要すると認められる経費

(2)出向運営経費に係る助成率
助成率(中小企業:4/5 ,大企業:2/3 )
ただし、出向元事業主が解雇等を行わず雇用維持を行う場合(中小企業:9/10 ,大企業:3/4 )(※)

(※)【雇用維持要件】
1 支給対象期の末日において、出向元事業主に雇用されている労働者(雇用保険被保険者に限る)および派遣労働者として当該事業主の事業所に役務の提供を行っている者の数が、対象期間の初日の前日の属する月から遡った6か月間の各月末の事業所労働者数の平均の5分の4以上であること。
ただし、業界特有の理由等により、例年特定の季節において事業所労働者数の増減がある等、やむをえない事情のある場合には、要件を満たすものとすることができます。
2 対象期間の初日の前日から起算して6か月前から当該支給対象期の末日まで(以下「比較期間」という。)に、次の①~③に掲げる解雇(解雇予告を含む。)等を行わないこと。
なお、次の①~③については、新型コロナウイルス感染症を理由とする解雇等も含むことに留意すること。
① 事業主に直接雇用される期間の定めのない労働契約を締結する労働者の場合、解雇又は退職勧奨(労働者が同意した場合も含む。)等により事業主都合による離職をさせること
② 事業主に直接雇用される期間の定めのある労働契約を締結する労働者の場合、解雇と見なされる労働者の雇止め、中途契約解除等により事業主都合による離職をさせること
③ 対象事業主の事業所に役務の提供を行っている派遣労働者の場合、労働者派遣契約期間満了前の事業主都合による契約解除

(3)出向運営経費に対する助成額
1人1日当たりの上限額は12,000円(出向元事業主と出向先事業主の負担額の合計)です。

(4) 出向に際してあらかじめ要する経費(出向初期経費)の助成額
出向元事業所または出向先事業所において、出向期間の初日までに出向労働者に対して要した次の①~⑧のいずれかの経費を要する措置を実施した場合には、出向初期経費の支給対象となります(出向初期経費については、出向初期経費報告書(共通)(様式第6号別紙)を提出します。確認書類は不要です)。
① 出向先事業主の負担する、出向先事業所における出向労働者に係る什器・OA環境整備費用、被服費等の初度調弁費用にあたる経費(事務用消耗品(各種用紙、文房具等でその性質が長期の使用に適しないもの)を除く)
② 出向元事業所および出向先事業所の職場見学、業務説明会の実施に要する経費
③ 出向元事業所と出向先事業所の間で行われる出向労働者の労働条件、スケジュールの調整に要する経費
④ 出向元事業所および出向先事業所の就業規則等の整備・改正に要する経費
⑤ 出向元事業所および出向先事業所の出向契約書の作成・締結に要する経費
⑥ 出向元事業所および出向先事業所における教育訓練に要する経費
⑦ 出向労働者の転居に係る経費(事業主がその全部または一部を負担する場合に限る)
⑧ ①~⑦の他、出向の成立に要すると認められる経費

助成額は、同一の事業主において出向労働者1人につき1度限りで、100,000円です(なお、出向元事業主について次のアに該当する場合、また、出向先事業主について次のイに該当する場合には、50,000円の上乗せを行い、150,000円となります。)。
ア (出向元事業主の要件)次の(ア)または(イ)のいずれかに該当すること
(ア) 出向元事業所の業種の大分類が次の a~c のいずれかに該当すること
a 運輸業、郵便業(大分類H)
b 宿泊業、飲食サービス業(大分類M)
c 生活関連サービス業、娯楽業(大分類N)
(イ) 出向元事業所の生産指標の最近3か月間(計画届を提出する月の前月から前々々月まで)の月平均値が前年同期に比べ20%以上減少していること
イ (出向先事業主の要件)出向先事業所の業種の大分類が出向元事業所と異なるものであること

(5) 出向運営経費及び出向初期経費の対象となる教育訓練
出向運営経費((1)④)及び出向初期経費((4)⑥)の対象となる教育訓練は次のア及びイを満たすものです。
また、出向運営経費の算定の対象となるのはウの経費です。

ア 訓練の実施者

次の①、②のいずれかまたは両方によって行う Off-JT であること(OJT は対象になりません)。 ① 事業所内訓練
出向先事業主(出向初期経費の場合は出向元事業主または出向先事業主)自らが主催し、事業所内において集合形式で実施する訓練(外部講師の活用や社外の場所で行われる訓練であっても、出向先事業主が企画し主催したものは事業所内訓練となります)
② 事業所外訓練
公共の職業能力開発施設、学校教育法上の教育機関、各種学校、専修学校、認定職業訓練施設、その他事業主団体等が主催している訓練

イ 訓練の内容

訓練内容が、次の①~⑧のいずれにも該当するものであること。
出向先事業所における職業に関する知識と技能等を高め、職場への適応性を高めるためのものであること。
具体的には出向労働者の出向先事業所における職務の遂行に必要となる技能・知識の向上を図るものであること。(例:出向先事業所で必要となる技能・ビジネススキル習得に係る訓練等)
趣味教養と区別のつかないものではないこと。
通信教育・eラーニングによるものではないこと。
職業又は職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるものでないこと。
(例:接遇・マナー講習、パワハラ・セクハラ研修、メンタルヘルス研修 等)
⑤ 海外で実施するものでないこと。
指導員又は講師が不在のまま自習(ビデオ等の視聴を含む。) を行うものでないこと。
⑦ 通常の生産ラインにて実施されるものなど、通常の生産活動と区別がつかないもの又は教育訓練過程で生産されたものを販売等することにより利益を得るものでないこと(アの①の訓練の場合のみ。)。
⑧ 専修学校専門課程教員、職業訓練指導員免許取得者又はこれらと同等以上の能力を有する者により実施されるものであること。

※ イについては、新型コロナウイルス感染症の影響により、集合研修等の実施が難しい状況であることに鑑み、以下の取り扱いを行います。
・⑥について、自宅などで行う学習形態の訓練(サテライトオフィス等での教育訓練)も可能です。
・⑧について、自宅等でインターネット等を用いた双方向での訓練を実施するなど、通常と異なる形態で実施する場合には、社内において、自社職員である指導員が、一般的に教育的立場にあり、一定程度の知識、実務経験を有するならば、当該指導員による訓練も可能です。
・ 上記の取扱により自宅などで行う学習形態の訓練については、片方向受講・双方向受講いずれも可能です。
但し、訓練実績については、カリキュラム及び習熟度が把握できるレポート等を提出します。
(特に、自宅等で実施した訓練については、出向労働者に具体的にレポートを記載する必要があります)

ウ 出向運営経費の算定の対象となる経費
出向運営経費の算定の対象となる教育訓練経費(職業訓練を行うための施設設備の整備に要する費用、 繰り返し活用できる教材等で既に他の助成金の支給対象とされたことのあるもの及び職業訓練以外の生産ライン又は就労の場で汎用的に用いうるもの等に係る経費を除く。)については、次の①及び②によって算定した額(支給申請までに支払いが終了しているものに限る)です。
① 事業所内訓練の場合 次の a~c の合計額を、支給対象期における総受講者数(出向労働者でない者を含む。)の値で除して 1人当たりの額を算出します。
a 外部講師(社外の者に限る。)の謝金・手当(所得税控除前の金額)に係る実費
ただし、1時間当たり3万円を限度とします。
また、外部講師の旅費、車代、食費及び宿泊費並びに「経営指導料・経営協力料」等のコンサルタ ント料に相当するものは対象となりません。
b 施設・設備の借上費に係る実費
教室、実習室、ホテルの研修室の会場使用料及びマイク、OHP、ビデオ、スクリーン等訓練で使用する備品の借料であって、出向に係る訓練のみに使用したことが確認できるものに限られます。
c 教科書・教材費に係る実費
学科若しくは実技の訓練を行う場合に購入したもの又は出向に係る訓練のみで使用するものとして作成したもの。
② 事業所外訓練の場合
入学料、受講料、受験料、教科書代等に係る実費。
ただし、あらかじめ受講案内等で定められており、受講に際して必要となる経費に限られます。


【第45回】在籍型出向を行う場合の助成金:産業雇用安定助成金④   [ 2021.05.25 ]

在籍型出向を行うときに活用できる助成金が「産業雇用安定助成金」の第3回目

今回は「支給対象となる出向」について見ていきましょう。

まずは、どのような労働者が対象になるかというと、
本助成金の「対象労働者」は、助成金を受けようとする出向元事業主に雇用され、本助成金の出向の対象となりうる雇用保険被保険者となります。
ただし、次の①~③を除かれます。
① 出向計画期間の初回の出向した日の前日時点において、出向元事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6か月未満である方
解雇を予告されている方、退職願を提出した方、事業主による退職勧奨に応じた方
(離職の日の翌日に安定した職業に就くことが明らかな方を除きます)
(それらの事実が生じた日までの間は対象労働者として扱います)
③ 日雇労働被保険者

次ににどのような出向が対象となるかというと、
本助成金の対象となる「出向」は次の①~⑬のすべてを満たす必要があります。
雇用調整を目的として行われるものであって、人事交流・経営戦略・業務提携・実習のため等に 行われるものではなく、かつ、労働者を交換しあうものでないこと。
労使間の協定によるものであること。
出向労働者の同意を得たものであること。
出向元事業主と出向先事業主との間で締結された契約によるものであること。
出向先事業所が雇用保険の適用事業所であること。
⑥ 出向元事業主と出向先事業主が、資本的、経済的、組織的関連性等からみて、独立性が認められること。(※1)
対象期間内に実施されるものであること。
⑧ 労働者ごとの出向期間が1か月以上2年以内であって出向元事業所に復帰するものであること。
⑨ 出向元事業所または出向先事業所が出向労働者の賃金の全部または一部をそれぞれ負担している こと。
⑩ 出向労働者に出向前に支払っていた賃金とおおむね同じ額の賃金を支払うものであること。
⑪ 出向元事業所から出向先事業所に出向させ、かつ、当該出向先事業所において就労することとな るものであること。
ただし、当該出向労働者について、同一出向期間内で異なる2つ以上の出向先事業所において就労するものでないこと。
⑫ 労働組合等によって出向の実施状況について確認を受けること。
⑬ 出向元事業主および出向先事業主の双方がそれぞれ支給要件を満たすこと。

(※1)資本的、経済的、組織的関連性等からみた独立性について
親会社と子会社の間の出向や、代表取締役が同一人物である企業間の出向など、資本的、経済的、組織的関連性等からみて、出向元事業主と出向先事業主が実質的に一体であり独立性を認めることが適当でないと判断される場合は、本助成金の支給対象となりません。
実質的に一体性が認められるか否かは、以下の方法等で判断されます。
2法人間における出資等の状況が次のイ又はロのいずれかに該当する場合は、両法人間に実質的一体性が認められるものと判断されます。
資本金の50%を超えて出資していること。
ロ 取締役会の構成員について、次のいずれかに該当すること。
(イ)代表者が同一人物であること。
(ロ)両者の取締役を兼務している者が、いずれかの会社について過半数を占めていること。 


【第44回】在籍型出向を行う場合の助成金:産業雇用安定助成金③   [ 2021.05.21 ]

在籍型出向を行うときに活用できる助成金が「産業雇用安定助成金」の第2回目

今回は「支給対象となる期間と日数」について見ていきましょう。

(1) 出向期間及び対象期間
本助成金は、出向元事業主が、雇用する雇用保険被保険者に対して1か月以上2年以内の期間で実施した出向について支給対象となります。

出向元事業主が、同一の出向元事業所について、出向先事業所ごとに実施する出向の期間を「出向期間」 といいます。
同一の出向先事業所に複数の労働者の出向を実施する場合は、労働者の出向の開始日のうち最も早い日から、出向の終了予定日のうち最も遅い日が出向期間となります。
また、出向元事業所が出向を実施する期間を「対象期間」といい、複数の出向先事業所に出向を実施する場合は、複数の出向先事業所の出向期間の始期のうち最も早い日から、出向期間の終期のうち最も遅い日が対象期間となります。
出向先事業所が1つの場合、対象期間は出向期間と等しいことになります。

(2) 判定基礎期間
出向を行う場合、出向先事業所ごとに、出向期間内の実績を原則1か月単位で判定し、それに基づいて支給がなされます。
この出向の実績を判定する1か月単位の期間を「判定基礎期間」といいます。
「判定基礎期間」は原則として、毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間です。

(3) 支給対象期
本助成金は、出向元事業所の対象期間および出向先事業所ごとの出向期間について出向の計画を策定して労働局またはハローワークへ届け出し、その計画に基づいて実施した出向の実績に応じて支給申請を行います。
支給申請の単位となる一定期間を「支給対象期」といいます。
「支給対象期」は、1つの「判定基礎期間」、または連続する2つから6つの「判定基礎期間」のいずれかを計画の届出の際に出向元事業主が出向先事業所ごとに選択し、以降この計画の届出の際に選択した頻度毎に支給申請することとなります(支給申請 を1か月ごと~6か月ごとから選択することができます。なお、途中で変更する場合には、別途変更の手続きが必要です。)。

(4) 支給限度日数等
本助成金を受けようとするとき、同一の雇用保険適用事業所につき一の年度に本助成金の支給対象となる対象労働者500人(1人当たり、一の事業主に雇用された同一の労働者に対する助成金の支給は12か月(365日)を限度とします。当該年度における最初の出向の開始日の前日において当該事業所で雇用する 雇用保険被保険者数が500人未満の場合は、その人数分。ただし、その数が10人未満の場合は10人分 とする)分が上限となります。
ア 支給人数の計算方法
この場合の支給人数の計算において、同一の適用事業所が出向元事業所として出向を実施した場合 は、出向を実施する対象労働者について500人(当該年度における最初の出向の開始日の前日において当該事業所で雇用する雇用保険被保険者数が500人未満の場合は、その人数分。ただし、その数が10人未満の場合は10人分とする。以下同じ。)が上限となり、また、出向先事業所として出向の受入れを行った場合は、受け入れる者について500人が上限となり、それぞれ上限が適用されます (※)。
なお、出向を実施した日が1日でもあった労働者を「1人」とカウントします。
支給人数が支給限度日数等に達した支給対象期における出向労働者は、出向の開始日が早い者を優先 的に支給対象者とすることになります(出向の開始日が同日の者が複数人いる場合には、出向元事業主及び出向先事業主が出向の開始日が同日の労働者の中からそれぞれ支給対象者を指定することとなります。)。
(※)同一の事業所が同一の期間に雇用する労働者の出向の実施と他の事業所からの出向の受入れを行うことはできません。
イ 「1年度500人」の支給限度日数等の計算方法
「1年度500人」という支給限度日数等に達したかどうかは、同一の年度に支給決定を行った出向労働者の人数の累計を、500人から控除して得た人数を残人数とするという考え方で計算します。 例えば、同一の出向労働者について複数の支給対象期において支給を行った場合も、「1人」とカウ ントします。



【第43回】在籍型出向を行う場合の助成金:産業雇用安定助成金②   [ 2021.05.18 ]

在籍型出向を行うときに活用できる助成金が「産業雇用安定助成金」の第2回目

今回は「支給対象となる事業主」について見ていきましょう。

本助成金は出向元事業主および出向元事業主から出向労働者を受け入れる事業主(以下「出向先事業主」といいます)が支給対象になります。
本助成金を受給する事業主のうち、出向元事業主は、次の(1)および (3)の要件を満たし、かつ(4)に該当していないことが必要であり、また、出向先事業主は次の(2)および(3)の要件の満たし、かつ(4)に該当していないことが必要です。

(1) 雇用調整の実施
本助成金は、「新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、
その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、
「労使間の協定」に基づき出向を実施する出向元事業主が支給対象となります。
具体的には、上記の下線部についてそれぞれ次のア~ウを満たしていることが必要です。

ア 「新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由」とは
「新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由」とは、
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う景気の変動および産業構造の変化ならびに地域経済の衰退、競合する製品・サービス(輸入を含む)の出現、消費者物価・外国為替その他の価格の変動等の経済事情の変化をいいます。
そのため次に掲げる理由による事業活動の停止または縮小は本助成金の支給対象となりません。

【支給対象とならない理由の例】
① 例年繰り返される季節的変動によるもの(自然現象に限らない)
② 事故または災害により施設または設備が被害を受けたことによるもの(被害状況の点検を行っている場合も含む)
③ 法令違反もしくは不法行為またはそれらの疑いによる行政処分または司法処分によって事業活動の全 部または一部の停止を命じられたことによるもの(事業主が自主的に行うものを含む)

新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由とは、具体的には、次のような理由で経営環境が悪化していることをいいます。

【支給対象となる理由の例】
① 観光客のキャンセルが相次いだことにより、客数が減り売上が減少した。
② 市民活動が自粛されたことにより、客数が減り売上が減少した。
③ 行政からの営業自粛要請を受け休業したことにより、客数が減り売上が減少した。 など


イ 「事業活動の縮小」とは
売上高または生産量などの事業活動を示す指標(生産指標)が一定以上減少していることを指します(生産量要件)。具体的には、次のaからcのいずれかに該当する必要があります。
a 生産指標の最近1か月の値が、1年前の同じ1か月の値に比べ5%以上減少していることです。
b 生産指標の最近1か月の値が、2年前の同じ月に比べ5%以上減少していることです。
c 生産指標の最近1か月の値が、計画届を提出した月の1年前の同じ月から計画届を提出した月の前々 月までの間の適当な1か月に比べ5%以上減少していることです。
※1 「最近」とは計画届の提出日の属する月の前月を指します。
例えば、計画届の提出日の属する月が令和3年4月の場合、「最近1か月」とは令和3年3月を指します。 ※2 a~cのいずれの場合も、比較する月は1か月を通して雇用保険適用事業所であり、かつ、1か月を通して雇用保険被保険者を雇用している月である必要があります。


ウ 「労使間の協定」とは
本助成金は、出向の実施について労使間で事前に協定し、その決定に沿って出向を実施することを支給 要件としています。
労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者との間で書面により行う必要があります。
(注:協定を締結した労働組合等の代表が、当該事業所における労働者の過半数を代表するものであるかは、組合員名簿または労働者代表選任書等で確認します。)


(2) 解雇等や雇用量の減少がないこと
本助成金を受給する出向先事業主は、次の要件を満たしていることが必要です。

「解雇等がない」こと

出向期間の開始日の前日から起算して6か月前の日から支給申請を行う支給対象期の末日までの間において、当該出向労働者の受入れに際し、その雇用する被保険者を事業主都合により離職(雇用保険制度における喪失原因コード3(※)に該当)させた事業主以外であること。
(※)労働者の責めに帰すべき理由による解雇、天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能となった事による解雇以外の解雇に勧奨退職等を加えたものをいいます。

「雇用量の減少がない」こと
雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標(雇用指標)が一定以上減少していないことを指します(雇用量要件)。
具体的には、次のa又はbのいずれかに該当する必要があります。
ただし、bにより比較するのは雇用保険適用事業所設置後、1年未満の事業所に限ります。
a 雇用指標の最近3か月間の平均値が1年前の同じ3か月間に比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ 6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上減少していないことです。
b 雇用指標の最近1か月の値が、計画届を提出した月の1年前の同じ月から計画届を提出した月の前々月までの間の適当な1か月に比べ大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上減少していないことです。
※1 「最近」とは計画届の提出日の属する月の前月を指します。
例えば、計画届の提出日の属する月が令和3年4月の場合、「最近3か月間」とは令和3年1月~3月を、また「最近1か月」とは令和3 年3月を指します。
※2 a、bいずれの場合も、比較する月は3か月間(bの場合は1か月)を通して雇用保険適用事業所であり、かつ、3か月間(bの場合は1か月)を通して雇用保険被保険者を雇用している月である必要があります。


(3) その他の要件
本助成金を受給する事業主は、その他次の要件を満たしていることが必要です。
① 出向元事業所および出向先事業所が雇用保険適用事業所であること。
② 出向元事業主と出向先事業主が資本的、経済的、組織的関連性等からみて、独立性が認められること。
③ 「受給に必要な書類」について、
a 整備し、
b 受給のための手続に当たって労働局等に提出するとともに、
c 保管して労働局等から提出を求められた場合にそれに応じて速やかに提出すること。
なお、「受給に必要な書類」とは、出向の対象となった労働者の、出勤及び雇用調整の状況、賃金等 を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等)等です。
④ 労働局等の実地調査を受け入れること
⑤ 出向元事業所で、本助成金の支給対象となる期間に他の事業所の雇用保険被保険者を出向により受け入れ、他の事業所の事業主がその出向について本助成金、雇用調整助成金(出向)又は通年雇用助成金の支給を受けていない(受けようとしていないことを含む)こと
⑥ 出向先事業所で、自己を出向元事業所とする出向を行い、出向元事業主として本助成金、雇用調整助成金(出向)又は通年雇用助成金の支給を受けていない(受けようとしていないことを含む)こと


(4) 不支給要件
本助成金を受給する事業主は、次のいずれの場合にも該当していないことが必要です。
① 平成31年3月31日以前に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日又は支給決定取消日から3年を経過していない。
② 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日または支給決定取消日から5年を経過していない。
③ 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給に関与した役員等がいる。
④ 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度における労働保険料の滞納がある。
⑤ 支給申請日の前日から起算して過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている。 ⑥ 風俗営業等関係事業主である。
⑦ a.事業主もしくは事業主団体(以下「事業主等」という。)または事業主等の役員等が、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「暴力団対策法」という。)第2条第2号に規定する暴力団 または第2条第6号に規定する暴力団員である。
b.役員等が、自己、自社もしくは第三者の不正の利益を図る目的または第三者に損害を加える目的をもって、暴力団または暴力団員を利用するなどしている。
c. 役員等が、暴力団または暴力団員に対して、資金等を供給し、または便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、もしくは関与している。
d. 役員等が、暴力団または暴力団員であることを知りながらこれを不当に利用するなどしている。
e. 役員等が、暴力団または暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している。
⑧ 事業主等または事業主等の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体等に属している。
⑨ 倒産している。
⑩ 産業雇用安定助成金について不正受給を理由に支給決定を取り消された場合、労働局が事業主名等を公表することに承諾していない。
⑪ 役員等の氏名、役職、性別及び生年月日が記載されている別紙「役員等一覧」又は同内容の記載がある書類を添付していない。
⑫ 「雇用関係助成金支給要領」に従うことに承諾していない。


【第42回】在籍型出向を行う場合の助成金:産業雇用安定助成金①   [ 2021.05.14 ]

在籍型出向を行うときに活用できる助成金が「産業雇用安定助成金」です。

第1回目は本助成金の対象となる「出向」の内容を見ていきましょう。

本助成金の対象となる出向は、
労働者が元の事業所(以下「出向元事業所」といいます)の従業員たる地位を保有しつつ
他の事業主の事業所(以下「出向先事業所」といいます)において勤務するもの(いわゆる「在籍型出向」)で あり、
出向終了後に労働者が出向元事業所に復帰するものをいいます。
出向期間内に出向元事業所と出向先事業所の両方で勤務する部分出向も本助成金の対象となります。
ただし、
資本的、経済的、組織的関連性等からみて独立性を認められない事業主間の出向は、配置転換と変わらないことから、本助成金の支給対象となりません。
また、
部分出向においては、
出向先事業所で勤務を行う日と同一日に出向元事業所においても勤務を行うもの
及び
出向期間中の1か月ごとの出向先事業所で勤務する日数が、出向元事業所において出向を行う前の原則1か月の所定労働日数の半分未満であるものは、本助成金の対象となりません。

出向は、出向労働者にとって働く環境が大きく変わることとなるため、次の点に配慮し、
出向労働者が出向先事業所で安心してその能力を発揮できるよう条件整備を行うことが不可欠となっています。
① 出向対象労働者の同意を得ること
② 出向先事業所における労働条件等を明確にすること
③ 出向元事業所と出向先事業所との間で賃金分担を明確にすること
④ 出向労働者を送り出す事業主(以下「出向元事業主」といいます)と労働組合等が出向について協定を結ぶこと



【第41回】再確認、新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金⑧   [ 2021.05.11 ]

今回は、新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金(緊急対応期間)の
「支給申請に必要な書類」を見ていきましょう。

様式新特第4号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に 関する申出書 ○
様式新特第6号 (共通要領様式第1号) 支給要件確認申立書・役員等一覧 ●
様式新特第9号 休業・教育訓練実績一覧表 ●
様式新特第8号 助成額算定書 ●
様式新特第7号 (休業等)支給申請書 ●
確認書類① 休業協定書 ○(※)
確認書類② 事業所の状況に関する書類 ○
確認書類③ 労働・休日の実績に関する書類 ●
確認書類④ 休業手当・賃金の実績に関する書類 ●
○ 初回の提出のみでよい書類 (※ 休業協定書は、失効した場合は改めて提出が必要)
● 支給申請ごとに提出する書類

※令和3年1月の緊急事態宣言等対応特例、業況特例、地域特例に該当する事業主は、追加の書類が必要。

ア 「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」の添付書類
① 生産指標の確認のための書類
判定基礎期間の初日が属する月、またはその前月、またはその前々月の売上高、生産高又は出荷高と、その1年前の同じ月の売上高等を確認できる書類。
既存の「売上簿」「営業収入簿」「会計システムの帳票」など。写しでも可。

イ 確認書類①(休業協定書)
① 休業等の実施について労働組合等との間で締結した協定書
休業を実施する場合は「休業協定書」
※ 新型コロナウイルス感染症の影響で、労働組合等との協定を締結することが困難である事業主は、労働組合等との確約書等でも代替可能。
② 労働者代表の確認のための書類
労働組合等との協定書に署名または記名押印した労働組合等の代表が、当該事業所における労働者の過半数を代表する者であることを確認するための次の書類。
(ア) 労働組合がある場合
組合員数を確認できる「組合員名簿」などの書類
(イ) 労働組合がない場合
「労働者代表選任書」
なお、様式新特第9号「休業・教育訓練実績一覧表(新型コロナウイルス感染症関係)」 に協定を締結した労働者代表の氏名等の記載があれば省略することが可能です。

ウ 確認書類②(事業所の状況に関する書類)
① 事業所が中小企業に該当しているか否かの確認等のための書類 常時雇用する労働者の人数を確認できる「労働者名簿」及び「役員名簿」などの書類

エ 確認書類③(労働・休日の実績に関する書類)
① 労働日・休日及び休業の実績の確認のための書類
a 各労働者の実際の労働日・休日及び休業の実績が明確に区分され、日ごと又は時間ごとに確認できる「出勤簿」「タイムカード」などの書類
b シフト制、交替制又は変形労働時間制をとっている場合は、労働者ごとの当初予定していた具体的な労働日・休日および休日予定日がわかる「勤務カレンダー」「シフト表」などの 書類

オ 確認書類④(休業手当・賃金の実績に関する書類)
① 休業手当・賃金及び労働時間の確認のための書類
休業期間中の休業手当として支払われた賃金の実績が確認できる「賃金台帳」「給与明細書」などの書類(判定基礎期間を含め前4か月分(賃金や手当の支払い方法が協定に定める方法と相違ないと確認できる場合は1か月分))
なお、休業日に支払われた休業手当と、通常の労働日(時間)に支払われた賃金・手当等とが明確に区分されて表示されていることが必要ですが、休業手当等の額と賃金の額が同額である場合は、休業手当等の額が区分されていなくてもかまいません。

【第40回】再確認、新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金⑦   [ 2021.05.07 ]

今回は、新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金(緊急対応期間)の
「支給申請の提出先・期限等」を見ていきましょう。

休業実施後、支給申請に必要な書類をそろえ、事業所の住所を管轄する労働局またはハローワークに提出します。
郵送で提出する場合は、郵送事故防止のため、必ず簡易書留など配達の記録が残る方法で、郵送します。
その場合、申請期限までに到達する必要があります。
なお、申請期限は「支給対象期間」の最終日の翌日から起算して2か月以内です。
本助成金を受給しようとする事業主は、支給申請に必要な書類を整備・保管し、労働局等から追加の提出を求められた場合には、それに応じて速やかに提出することになります。
また、提出した書類は支給決定されたときから5年間保存しなければなりません。


【第39回】再確認、新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金⑥   [ 2021.05.04 ]

今回は、新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金(緊急対応期間)の
「支給申請の手続きの流れ」を見ていきましょう。

受給までの手続きの流れは、おおむね次のとおりです。
通常は、休業を実施する前に計画届を提出する必要がありますが、令和2年5月19日以降から行う支給申請については、計画届の提出は不要となりました。
ただし、計画届を提出する際に提出する他の書類は、支給申請時に提出する必要があります。

①休業計画および労使協定
休業の具体的な内容(期間、日数、休業手当の支払い率)を計画します。
その後、労使で休業の協定を書面で締結します。

②休業の実施および休業手当支給
協定に基づき休業を実施します。
協定に基づき従業員に休業中の休業手当を支払います。

③支給申請
休業の実績に基づき、支給申請をします。※必要な書類を添付して提出。

④労働局の審査
支給申請のあった書類について、労働局で審査を行います。

⑤支給決定
支給決定額が口座に振込まれます。



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