助成金ニュース

【第17回】キャリアアップ助成金(正社員化コース)⑥ 対象となる事業主③   [2021.02.07]

正規雇用労働者に転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金と比較して、
5%以上増額させている事業主であることが求められています。

この5%増額とは、

ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額を5%以上増額させていること
または、
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額を5%以上増額させていること

のどちらかということになります。

上記を見ると、
「イ 賞与を含めた方法」で5%以上を選択したほうがクリアしやすいのではないか、と感じるかもしれませんが、
賞与の条件があり、それをクリアしないと賞与は含められませんので、
「ア 賞与を含めない方法」で、5%以上クリアすることが無難です。

では、
この賃金総額に含めることができない「諸手当」を見ていきましょう。
①実費補填であるもの
②毎月の状況により変動することが見込まれるため実態として労働者の処遇が改善しているか判断できないもの
については、名称を問わず賃金総額に含めることができません。

例えば、
・就業場所までの交通費を補填する目的の「通勤手当」
・家賃等を補填する目的の「住宅手当」
・就業場所が寒冷地であることから暖房費を補填する目的の「燃料手当」
・業務に必要な工具等を購入する目的の「工具手当」
・繁閑等により支給されない場合がある「休日手当」および「時間外労働手当(固定残業代を含む)」
・本人の営業成績等に応じて支払われる「歩合給」
・本人の勤務状況等に応じて支払われる「精皆勤手当」
・食費を補填する目的の「食事手当」
となります。

 

注意点①

転換後の賃金に定額で支給される諸手当を含める場合、
当該手当の決定及び計算の方法(支給要件を含む)が就業規則または労働協約に記載されているものに限る(転換前において定額で支給される諸手当は、就業規則等への記載の有無にかかわらず転換前6か月間に賃金に含める)とされていますので、
就業規則に支給しているすべての諸手当の内容が記載されているかどうか確認しましょう。

就業規則に記載がないと、「転換前の賃金には含めるが、転換後には含めない」ので、
5%以上の賃金アップに達しない可能性が出てきます。

 

注意点②

固定残業代が基本給に含まれている場合は、
固定残業代に関する時間数と金額等の計算方法、
固定残業代を除外した基本給の額を
就業規則または雇用契約書等に明記している必要があります。

上記を考えると、
雇用契約書には、
基本給と固定残業代は分けて、

例えば、
固定残業代(時間外労働20時間分)

というように明記しておくとよいでしょう。

 

注意点③

固定残業代の総額又は時間相当数を減らしている場合であって、
かつ転換前後の賃金に固定残業代を含めた場合に、
賃金が5%以上増額していない場合、
支給対象外となります。

具体的に数字で見ていくと、
(例1)
転換前:基本給20万円、固定残業代5万円(合計25万円)
転換後:基本給21万円、固定残業代4万円(合計25万円)
⇒基本給は5%増額されているが、総額でみると5%増額されていないので、支給対象外

(例2)
転換前:基本給20万円、固定残業代5万円(30時間分)(合計25万円)
転換後:基本給21万円、固定残業代3万円(20時間分)、定額手当2万円(合計25万円)
⇒基本給+定額手当は5%以上増額されているが、総額でみると5%増額されていないので、支給対象外

 

注意点④

賞与を含めた転換後の賃金が5%以上増額していても、
転換後において基本給および定額で支給されている諸手当の合計額が
転換前と比べて低下している場合は、
結果として支給対象外になります。

賃金5%以上増額については、
当初はなかった条件なので、
5%クリアできずに受給できないケースがあります。

 

上記の注意点のように、
イレギュラーなパターンが出てきた場合、
労働者が安心して働ける環境に即したパターンかどうかを前提として考えると、
受給できるかできないか、の判断の一助になるでしょう。

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