助成金ニュース

【第27回】生産性要件を活用して受給額を増やす   [2021.03.23]

「生産性要件」を活用することで、助成金受給額を増やすことができます。

これは、企業における生産性向上の取組みを支援するという目的で、
生産性を向上させた企業が労働関係助成金を利用する場合、
その助成額または助成率を割増すというものです。 

例えば、
キャリアアップ助成金(正社員化コース)、中小企業の場合、
① 有期 → 正規:1人当たり 57万円 → 72万円
② 有期 → 無期:1人当たり28万5,000円 → 36万円
③ 無期 → 正規:1人当たり28万5,000円 → 36万円


その要件は、
(1) 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、
①その3年度前に比べて6%以上伸びていること
または、
②その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

②の場合は、金融機関から一定の「事業性評価」(※1)を得ていること

(※1)「事業性評価」とは
都道府県労働局が、助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、
事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性および経営資源・強み等)を与信取引等のある金融機関に照会し、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うものです。
なお、「与信取引」とは、
金融機関から借入を受けている場合の他に、借入残高がなくとも、借入限度額(借入の際の設定上限金額)が設定されている場合等も該当します。
キャリアアップ助成金においては、取組実施日が平成29年5月1日以降の場合に限ります。

②のパターンは「事業性評価」を得ているというハードルがあるので、
多くは①生産性がその3年度前に比べて6%以上伸びていることを、
採用することになるでしょう。


(2) 「生産性」は次の計算式によって計算します。
生産性
=付加価値(※2)/雇用保険被保険者数(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く。)

(※2) 付加価値とは
企業の場合、「営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課」となります。

なお、
「生産性要件」の算定の対象となった期間中(3年前の会計年度の初日から直近会計年度の末日まで)に、事業主都合による離職者を発生させていないことが必要です。

生産性要件を算定するための厚生労働省のホームページに「生産性要件算定シート」を掲載されています。

生産性要件に係る支給申請における必要書類
・生産性要件算定シート
・各勘定科目の額の証拠書類(「損益計算書」、「総勘定元帳」など、個人事業主の方は確定申告書Bの 「青色申告決算書」や「収支内訳書」など)

手続き、必要書面は増えますが、
業績が向上していたり、経営のスリム化をはかった会社は、
まずは、生産性が向上しているか、計算してみてください。



【第26回】キャリアアップ助成金(正社員化コース)⑩ 手続きの流れ   [2021.03.19]

それでは、今までブログで書いてきた「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」の手続きの流れをまとめてみましょう。

1 キャリアアップ計画の作成・提出(転換・直接雇用を実施する前日までに提出)
雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。

2 就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定
・ キャリアアップ計画提出前に転換制度を規定していた場合※でも、対象になります。
⇒ ただし、その場合でも「試験等の手続き、対象者の要件、転換実施時期」の規定は必須です。
※ 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合の加算を受ける場合を除きます。
【注意】
・ 労働基準監督署に改訂後の就業規則を届け出る必要があります。
10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、労働組合等の労働者代表者(事業主と有期雇用労働者等を含む事業所の全ての労働者の代表)の署名および押印による申立書でも可です。

3 転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施

4 正規雇用等への転換・直接雇用の実施

転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付する必要があります。
・ また、転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇にする必要があります。 【注意】
※ 転換前6か月間の賃金と転換後6か月の賃金を比較して5%以上(2021年4月1日より3%以上)増額している必要があります。

5 転換後6か月分の賃金を支給・支給申請
転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請してください。
※ 賃金には時間外手当等も含みます。
※ 就業規則等の規定により、時間外手当を実績に応じ基本給等とは別に翌月等に支給している場合、6か月分の時間外手当が支給される日を賃金を支給した日となります(時間外勤務の実績がなく、結果として支給がない場合を含みます。)。
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)の対象となる有期実習型訓練を修了した者を正規雇用労働者等として転換または直接雇用した場合の経費助成の追加支給を受ける場合は、人材開発支援助成金に規定する申請書を人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)に係る支給申請として別途提出する必要があります。

6 審査、支給決定
※申請状況により、審査に時間がかかる場合があります。



【第25回】令和3年4月1日から変わる!キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)   [2021.03.16]

本コースは、
有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、
新たに社会保険を適用した場合に助成されます。

変更点
令和2年度限りとしていた措置を、令和4年9月末まで延長されます。

本コースの概要
・短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合
1人当たり 22万5,000円(※)←上乗せ前の額:19万円

・労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1~4時間延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合(※)
1人当たり 4万5,000円~ 18万円

<1年度1事業所当たり支給申請上限人数は45人まで(※)←従前は15人まで>

※は現時点で令和3年3月31日までの暫定措置です。


【第24回】令和3年4月1日から変わる!キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)   [2021.03.12]


本助成金は、
労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、 被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取り組みを実 施し、当該措置により新たに被保険者とした場合に助成されるものです。

変更されたのは、「時限措置の延長」です。

令和2年度限りとしていた措置を、令和4年9月末まで延長されます。
(従業員が100人を超える事業主は、一部の加算措置を除き令和3年9月末までとなります)

助成内容と助成額は、

①労使合意に基づく任意適用に向けて、保険加入と働 き方の見直しを進めるための取り組みを行った場合
1事業所当たり19万円(中小企業の場合)
※1事業所当たり1回のみ

②措置該当日以降に対象労働者の基本給を一定の割合以上増額した場合
基本給の増額割合(2~14%)に応じて 助成額を加算1人当たり19,000円~13万2,000円
※支給申請上限人数は45人まで

③措置該当日以降に対象労働者の生産性の向上を図るための取組を行った場合
助成額を加算 1事業所当たり10万円

となっています。


時限措置の期限は、
取り組み時点において事業主の従業員数が101人以上500人 以下の場合は、
上記①~③の助成の措置期限が異なります。
①⇒令和3年9月30日まで
②⇒令和4年9月30日まで
③⇒令和3年9月30日まで
となりますので、ご注意ください。

【第23回】令和3年4月1日から変わる!キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)   [2021.03.09]

有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け適用した場合、
または
有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合
に助成されます。

これにより、
キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)は
キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)に統合されます。

支給額については以下の通りです。
■支給額(1事業所当たり、中小企業の場合)38万円<1事業所当たり1回のみ>
■各種加算措置
(1) 共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算
・対象労働者1人当たり 15,000円 <上限20人まで>
(2) 同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算
・諸手当の数1つ当たり 16万円 <上限10手当まで>


令和3年度から、対象となる手当等を下記の通り変更となります。

①賞与 ②役職手当 ③特殊作業手当・特殊勤務手当 ④精皆勤手当 ⑤食事手当 ⑥単身赴任手当 ⑦地域手当 ⑧家族手当 ⑨住宅手当 ⑩時間外労働手当 ⑪深夜・休日労働手当

①賞与 ②家族手当 ③住宅手当 ④退職金 ⑤健康診断制度
(注)上記①~④について、以下の支給または積み立てなどを行った事業主が対象です。
6か月分相当として50,000円以上支給
②③1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給
月3,000円以上積み立て
なお、⑤については各種加算措置(1)の対象となりません。


健康診断制度に関する支給要件の注意点:
コース統合に伴い、
定期健康診断等の受診日の前日から起算して3か月以上前の日から受診後6か月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等であることが必要となります。
※これに伴い、支給申請期間も、健康診断制度を有期雇用労働者等に延べ4人以上実施した日を含 む月以降6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内となります。


※ 有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」および有期雇用労働者等に関する正規雇用労働者との共通の諸手当制度の規定が令和3年3月31日以前の場合は、当該規定に基づく健康診断の実施日または諸手当等の適用日が同年4月以降となる場合であっても従前の制度が適用されます。


【第22回】令和3年4月1日から変わる!キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)   [2021.02.28]


キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)
とは、
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した事業主に対して助成されます。


新設(障害者雇用安定助成金からの移管)
障害者雇用安定助成金の令和2年度末での廃止に伴い、
障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)の「正規・無期転換」措置を、
キャリアアップ 助成金の「障害者正社員化コース」に移管されることになりました。


障害者正社員化コースの概要
■概要
障害者の雇用促進と職場定着を図るために、
次の①または②のいずれかの措置を講じた場合に助成されます。
①有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換すること
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

■支給額

支給対象者 措置内容 支給総額 支給対象
期間
各支給対象期における支給額
重度身体障害者、重度
知的障害者および精神
障害者

有期雇用から正規雇用
への転換

120万円 (90万円) 1年
(1年)
60万円×2期
(45万円×2期)
有期雇用から無期雇用
への転換
60万円
(45万円)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
無期雇用から正規雇用
への転換
60万円
(45万円)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
重度以外の身体障害者、
重度
以外の知的障害者、
発達障害者、難病患者、
高次脳機能障害と診断
された者
有期雇用から正規雇用
への転換
90万円 (67.5円) 45万円 ×2期
(33.5万円※×2期)
※第2期の支給額は34万円
有期雇用から無期雇用
への転換
45万円
(33万円)
22.5万円×2期
(16.5万円×2期)
無期雇用から正規雇用
への転換
45万円
(33万円)
22.5万円×2期
(16.5万円×2期)

※( )内は中小企業以外の額です。
※ 支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期の支給対象期といいます。
※ 支給対象者1人あたり、上記の額が支給されます。
ただし、当該額が、各々の支給対象期における労働に対する賃金の額を超える場合には、
当該賃金の総額を上限額となります。

6か月ごとに支給されますので、
キャリアアップ助成金(正社員化コース)よりも早めに支給されますが、
都度支給申請することになるので、
申請忘れの内容に注意しましょう。


【第21回】令和3年4月1日から変わる!キャリアアップ助成金(正社員化コース)   [2021.02.27]


キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換、または直接雇用した場合に助成されます。

このキャリアアップ助成金(正社員化コース)が、
令和3年4月1日から、変更されます。

支給額(1人当たり、中小企業の場合) については、
①有期 → 正規:57万円  ②有期 → 無期または③無期 → 正規:28万5,000円
に変更はありません。

変更点は、

①支給要件の変更

現行要件では、
正規雇用等へ転換等した際、
転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して、
以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)

新要件では、
正規雇用等へ転換等した際、
転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※ 基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、
賞与は含めないこととなりました。

賞与の取扱いが難しいキャリアアップ助成金(正社員化コース)。
当社では、
賞与を含めずに5%賃金アップを目指していきましょう。
ということを伝えてきました。

そして、この賞与を含めた条件がなくなり、
賃金アップ率も5%→3%に下がりました。
これで、
会社にとってキャリアアップ助成金(正社員化コース)のハードルが下がったといえるのではないでしょうか。


②加算措置の変更

キャリアアップ助成金(正社員化コース)には加算措置がありますが、
一部以下のように変更になりました。
(1人当たり、中小企業の場合、で見ていきます)

・若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合:95,000円加算

・廃止


・勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、
有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合:95,000円<1事業所当たり1回のみ> 

短時間正社員制度を追加


これから、4月1日にむけて、
助成金の変更が具体的になっていくので、
情報を漏らさないようにしましょう。

【第20回】キャリアアップ助成金(正社員化コース)⑨ 対象となる事業主⑥   [2021.02.21]

有期雇用労働者を正規雇用労働者、または無期雇用労働者に転換する場合、
無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する場合の、
対象となる事業主の条件は今回で最後です。
それでは、見ていきましょう。


●正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降の期間について、
当該者を雇用保険被保険者として適用させている事業主であること。

雇用保険被保険者になることは必須です。


●正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降の期間について、
当該者が社会保険の適用要件を満たす事業所の事業主に雇用されている場合、
社会保険の被保険者として適用させている
(無期雇用労働者の場合、労働条件が社会保険の適用要件を満たすときに限る。)
または社会保険の適用要件を満たさない事業所の事業主(任意適用事業所の事業主、個人事業主)が
正規雇用労働者に転換させた場合、
社会保険の適用要件を満たす労働条件で雇用している事業主であること。

社会保険に入ることも必須です(任意適用事業所を除く)。


●母子家庭の母等または父子家庭の父の転換に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、
当該転換日において母子家庭の母等または父子家庭の父の有期雇用労働者等を転換した者であること。

母子家庭の母等の場合、助成額の加算があります。


●若者雇用促進法に基づく認定事業主についての35歳未満の者の転換に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、
当該転換日より前に若者雇用促進法第15条の認定を受けていて、
当該転換日において35歳未満の有期雇用労働者等を転換した者であること。
また、支給申請日においても引き続き若者雇用促進法に基づく認定事業主であること。

若年雇用認定についても助成額の加算があります。


●勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度に係る加算の適用を受ける場合にあっては、
キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、
勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度を新たに規定し、
有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換した事業主であること。

就業規則に勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度を設けないと、
当該従業員の分は、助成されません。


●生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、
当該生産性要件を満たした事業主であること。

生産性要件については、後日お伝えしますが、
生産性の条件をクリアした場合は、
助成額が加算されます。

【第19回】キャリアアップ助成金(正社員化コース)⑧ 対象となる事業主⑤   [2021.02.20]

有期雇用労働者を正規雇用労働者、または無期雇用労働者に転換する場合、
無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する場合の、
対象となる事業主の条件はまだまだ続きます。

●基本給、定額諸手当及び賞与で5%増額させた場合、
転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額(※1)を、
転換前と比較して低下させていない事業主であること(※2) 。

(※1)
転換前後において所定労働時間若しくは支給形態が異なる場合、
又は時給制若しくは日給制の場合は
所定労働時間1時間当たりの賃金で判断します。

(※2)
低下した理由が転勤に伴う地域手当の支給額の変更や家族が扶養から外れた場合の家族手当の支給額の変更など
合理的な理由による低下は除かれます。


●当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、
当該転換を行った適用事業所において、
雇用保険被保険者(※3)を解雇(※4)等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること。

(※3)
雇用保険法第38条第1項第1号に規定する短期雇用特例被保険者および同法第43条第1項に規定する日雇労働被保険者を除きます。

(※4)
天災その他やむを得ない理由のために事業の継続が困難となったことまたは労働者の責めに帰すべき理由によるものを除きます。

勧奨退職も事業主都合になります。


●当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、
当該転換を行った 適用事業所において、
雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者(以下「特定受給資格者」という)となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3A(※5)に区分される離職理由により離職した者(以下「特定受給資格離職者」という)として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、
当該事業所における当該転換を行った日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている(※6)事業主以外の者であること。

(※5)
離職区分1A:解雇(3年以上更新された非正規社員で雇止め通知なしを含む)
3A:事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職


(※6)
特定受給資格者として当該受給資格の決定が行われたものの数が3人以下である場合を除きます。


●有期雇用労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度を含め、
雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、
その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること。


だいぶイレギュラーな内容も含まれてきましたが、
解雇や勧奨退職をしている場合は、
転換日の前日から起算して6か月前から1年を経過する日までの間であったかどうか、
事前に確認しておきましょう。

【第18回】キャリアアップ助成金(正社員化コース)⑦ 対象となる事業主④   [2021.02.14]

前回、
正規雇用労働者に転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金と比較して、
5%以上増額させている事業主であることが求められることを
お伝えしました。

今回は、

イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額を5%以上増額させていること

の、

賃金総額に含めることができない「賞与」について見ていきましょう。

〇以下の条件に該当する賞与については、
実態として処遇の改善ができないものとして、
賃金5%以上増額の算定に含めることはできません。
ただし(賞与を除く)基本給及び定額で支給されている諸手当が5%以上増額されていれば
本要件は満たすとされています。
つまりは、
前回お伝えした「ア」のパターンで確認します、ということです。


●就業規則または労働協約において、
支給時期(※1)または支給対象者(※2)が明記されていない場合

※1
支給時期は「〇月〇日に支払う」「〇月に支払う」など最低限支給月まで規定しているものであり、
単に「夏季及び冬季」「上半期及び下半期」「年2回」とだけ記載されている場合等には賃金の算定対象にはなりません。

※2
支給対象者が明記されている場合であって、
転換等後6か月の賃金算定期間中に賞与が支給されている場合
(当該算定期間中に賞与が1度も支給されていない場合には、支給申請時点で支給時期および金額が確定しているものを含む。)に限り含むことができます。
ただし、
転換時期や支給時期のタイミング等により実態として処遇の改善が確認できない場合は算定から除きます。


●賞与を支給することが前提となっていない、
または、
会社の業績に応じて臨時的に支給される賞与である場合

(例1)対象労働者が算定期間中に賞与の支給対象になっていない場合
(例2)就業規則等で「賞与は原則として支給しない。ただし、~」と規定されている場合
(例3)名称問わず、会社の業績に応じて臨時的に支給される「決算賞与」や「寸志」の場合


●転換前後において、賞与の規定は変更されていない(※3)が、
賞与を複数回支給する場合の額の違いや支給回数の結果として、
転換後の賞与額が転換前の賞与額を上回る場合

※3
「賞与の規定は変更されていない」とは、
有期雇用労働者等と正規雇用労働者に対して同一の賞与規定が適用されており、
転換前後で賞与の算出基準等が変更されていない場合等、をいいます。

(例4)賞与の支給額の算出基準に人事考課等が考慮されず、
  一律または在籍期間等の一定割合に基づき支払われる場合

どういうことかというと、
毎年、12月に20万円、7月に10万円、賞与を支給していて、
転換前6か月がたまたま10万円の支給時期に当たり、
転換後6か月がたまたま20万円の支給時期に当たったことで、
5%の増額になった場合をいいます。

(例5)転換前後に年1回支給される賞与が、
  転換時期の関係で転換後6か月間にのみ支払われる場合など、
  賞与を複数回支給する場合の額の違いや支給回数の結果として、
  転換後の賞与額が転換前の賞与額を上回るものである場合

どういうことかというと、
1年に1回しのみの支給のため
転換前6か月には支給がなく、
転換後6か月に年1回の支給時期に当たったことで、
5%の増額になった場合をいいます。


●転換時期の関係等から、転換前の賞与が満額支払われていないまたは支給されていない場合

(例6)転換前の賞与について、在籍期間が不足し、転換後の賞与よりも支給額が低いなど、
  転換時期の関係等から、
  転換前の賞与が満額支払われていない、または支給されていない場合

どういうことかというと、
転換前6か月賞与は在籍期間が少ないことから30%分を支給し、
転換後6か月は在籍期間があるので100%支給することで、
5%の増額になった場合等をいいます。

 

さて、上記のように、賞与を5%以上に含めるにはかなり注意を払う必要があり、
イレギュラーなパターンはこれだけではありませんので、
賞与を含めないシンプルなパターン(基本給+定額手当)で、
5%以上を目指していくことが、無難でしょう。

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