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2019年9月
派遣先の事業所単位の派遣可能期間制限の適切な運用とは? [ 2019.09.30 ]
派遣先の正社員と派遣労働者との代替を防止するために、派遣先の同一の事業所に、有期派遣労働者を派遣する期間は、原則3年とされています。
これは、正社員よりも派遣社員で業務を賄ったほうが人件費削減や雇用調整がしやすくなり、正社員の職域が害される恐れがあるためです。
原則3年の制限期間となりますが、正社員の過半数で組織される労働組合や過半数代表者の意見聴取を行えば、期間を3年延長することができます。その後も同様に延長することができます。
なお、この3年というのは、事業所単位ですので、派遣労働者が他の派遣労働者と交替したり、別の派遣会社に移行したとしても、制限期間は継続されます。
派遣先による均衡待遇の確保とは? [ 2019.09.27 ]
派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇を推進し、派遣労働者の処遇改善を図るのは一義的には雇用主たる派遣元事業主となりますが、実際は派遣先による対応がないと処遇の改善が進まないため、派遣先においても、以下の項目に関し、必要な措置を講じるものとしています。
1.教育訓練・能力開発
派遣先は、派遣先の労働者に対して業務の遂行に必要な能力を付すための教育訓練を行っている場合は、これらの者と同種の業務に従事する派遣労働者に対しても、当該派遣労働者を雇用する派遣元事業主からの求めに応じ、当該派遣労働者が既に当該業務に必要な能力を有している場合や派遣元で同様の訓練を実施することが可能である場合を除き、当該訓練を実施するよう配慮しなければなりません。
2.福利厚生施設
派遣先は、当該派遣先に雇用される労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室、更衣室については、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者に対しても、利用の機会を与えるよう配慮しなければなりません。
3.賃金
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の賃金の決定に当たって、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、当該派遣労働者の賃金を決定するよう配慮しなければなりません。
4.派遣労働者の職務状況等について提供する努力義務
派遣先は、派遣元事業主において段階的かつ体系的な教育訓練やキャリアコンサルティング、賃金等に係る均衡待遇の確保のための措置が適切に講じられるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の情報や、派遣先の指揮命令の下に労働させる派遣労働者の業務の遂行の状況等の情報を派遣元事業主に提供する等必要な協力をするように努めなければなりません。
適正な派遣就業確保等のための措置とは? [ 2019.09.26 ]
派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者から当該派遣就業に関し、苦情の申出を受けたときは、当該苦情の内容を当該派遣元事業主に通知するとともに、当該派遣元事業主との密接な連携の下に、誠意をもって、遅滞なく、当該苦情の適切かつ迅速な処理を図らなければなりません。
苦情の申出とは、例えば、指揮命令の方法の改善、セクシャルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児休業・介護休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント、障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情に関するもの等です。
労働者派遣契約に関する措置とは? [ 2019.09.25 ]
派遣先は、労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければなりません。
その内容は以下の通りです。
派遣先の講ずべき措置とは? [ 2019.09.24 ]
派遣元事業主だけでなく、派遣先も、派遣労働者に対して、以下の措置を講じなければなりません。
- 労働者派遣契約に関する措置
- 適正な派遣就業確保等のための措置
- 派遣先による均衡待遇の確保
- 派遣先の事業所単位の派遣可能期間制限の適切な運用
- 派遣労働者個人単位の派遣可能期間制限の適切な運用
- 派遣労働者の雇用の努力義務
- 派遣先での常用労働者(いわゆる「正社員」)化の推進
- 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止
- 派遣先責任者の選任
- 派遣先管理台帳の作成、記録、保存および記載事項の通知
派遣元管理台帳の作成・記載・保管とは? [ 2019.09.20 ]
派遣元事業主は、派遣元管理台帳を作成し、次に掲げる事項を記載し、派遣終了日から3年間保存しなければなりません。
・派遣労働者の氏名
・無期雇用派遣労働者であるか有期雇用派遣労働者であるかの別(有期雇用派遣労働者である場合は労働契約期間)
・派遣先の氏名又は名称
・事業所の所在地その他派遣就業の場所及び組織単位
・労働派遣期間及び派遣就業日
・始業及び終業時刻
・従事する業務の種類
・苦情処理に関する事項
・紹介予定派遣に関する事項
・派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
・所定就業日又は所定時間以上に就業させる場合は、その日数又は延長時間数
・期間制限のない労働者派遣に関する事項
・派遣労働者の健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の取得届の提出の有無
・段階的かつ体系的な教育訓練を行った日時とその内容
・キャリア・コンサルティングを行った日時とその内容
・雇用安定措置の内容
派遣元責任者の選任とは? [ 2019.09.19 ]
派遣元事業主は、事業所ごとに、専属の派遣元責任者を、派遣労働者100人以下を1単位として、1単位につき1人以上を選任する必要があります。(物の製造業においては専門の製造業務専門派遣元責任者を選任する必要があります)
派遣元責任者は、過去3年以内に派遣元責任者講習を修了していることが必要です(欠格事由に該当していない)。
派遣元責任者の業務は以下のとおり定められています。
・派遣労働者であることの明示
・就業条件等の明示
・派遣先への通知
・派遣元管理台帳の作成
・助言指導
・苦情処理
・個人情報の管理
・教育訓練の実施及び職業生活の設計に関する相談の機会の確保
・安全衛生及びこれらに関する業務の統括管理者及び派遣先との連絡調整
派遣先への通知とは? [ 2019.09.18 ]
派遣元事業主は、派遣先に対し、以下の事項を通知しなければなりません。
・当該派遣労働者の氏名
・当該派遣労働者が、無期雇用派遣労働者であるか、有期雇用派遣労働者であるかの別
・当該派遣労働者が45歳以上である場合はその旨、60歳以上である場合はその旨、18歳未満である場合はその年齢
・当該派遣労働者が、健康保険・厚生年金保険、雇用保険のに加入しているかの有無
また、派遣元事業主は、派遣先に対し、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入済みであることが分かる資料(健康保険証や資格取得確認通知書等)を、提示する必要があります。
労働者派遣に関する料金の額の明示とは? [ 2019.09.17 ]
派遣元事業主は、派遣労働者の雇い入れ時・派遣開始時・派遣料金の額の変更時に、当該派遣労働者または当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、当該労働者派遣料金の額を明示しなければなりません。
明示する派遣料金の額は、
「当該労働者に係る労働者派遣に関する料金の額」または、
「当該労働者に係る労働者派遣を行う事業所における労働者派遣に関する料金の額の平均額」とされています。
明示方法は、書類の交付・FAX送信・電子メール送信によって行うこととしています。
派遣労働者への就業条件の明示とは? [ 2019.09.13 ]
派遣元事業主は、派遣労働者に対し、予め、就業条件等を明示しなければなりません。
明示事項は以下の通りです。
①派遣労働者が従事する業務の内容
②派遣先事業所の名称・所在地・その他派遣就業の場所および組織単位
③派遣先の指揮命令者に関する事項
④労働者派遣期間および派遣就業日
⑤就業の開始および終了時刻ならびに休憩時間
⑥安全および衛生に関する事項
⑦苦情処理に関する事項
⑧派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
⑨紹介予定派遣に係る派遣労働者については、当該紹介予定派遣に関する事項
⑩派遣労働者個人単位の期間制限抵触日
⑪派遣先の事業所単位の期間制限抵触日
⑫派遣元責任者および派遣先責任者に関する事項
⑬就業時間外労働の有無、範囲
⑭健康保険、厚生年金保険および雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無
⑮派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項
⑯期間制限のない労働者派遣に関する事項
⑰派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置
⑱派遣先の事業所単位の期間制限または派遣労働者個人単位の期間制限に反して労働者派遣の役務の提供を受けた場合の、労働契約申込みみなし制度の対象となる旨
また、就業条件の明示は書面交付とされ、派遣労働者が希望した場合はFAX送信、電子メール送信でもOKとされています。
派遣労働者に係る雇用制限の禁止とは? [ 2019.09.12 ]
派遣元事業主は、派遣労働者との間で、雇用契約終了後、派遣先に雇用されることを禁ずる旨の契約をしてはいけません。
また、派遣元事業主は、派遣先との間で、雇用契約終了後、派遣先に雇用することを禁ずる旨の契約もしてはいけません。
これは派遣労働者の職業選択の自由を侵害することになるからです。
派遣労働者であることの明示とは? [ 2019.09.11 ]
派遣元事業主は、派遣労働者を雇い入れる際に、派遣労働者である旨(紹介予定派遣の場合は、その旨)を明示しなければなりません。
また、派遣労働者以外で雇用した労働者を派遣労働者とする場合は、予め当該労働者にその旨(紹介予定派遣の場合は、その旨)を明示するとともに、その同意を得る必要があります。
派遣労働者への待遇に関する事項等の説明とは? [ 2019.09.10 ]
派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対して、
賃金額の見込み、
健康保険、厚生年金保険、雇用保険の各労働・社会保険の被保険者となることに関する事項、
その他の当該労働者の待遇に関する事項、その他の労咳労働者の待遇に関する事項、
について説明をしなければなりません。
賃金額の見込みの説明については、書面交付もしくはFAX送信または電子メールの送信でのみ行うこととされています。
それ以外の待遇に関する説明については、上記の3つ以外にも、口頭やインターネットも認められています。
また、派遣元事業主は、派遣労働者から求めがあったときは、賃金の決定等について、均衡を考慮した事項について当該派遣労働者に説明しなければなりません。
適正な派遣就業の確保とは? [ 2019.09.09 ]
派遣元事業主は、派遣先が、労働者派遣法等に違反していないか適切な配慮が求めらます。
派遣先が労働者派遣法労に違反した場合は、直ちに労働者派遣を停止、またはる同社派遣契約を解除することができます。
上記の停止・解除ができる具体的な事由は、以下の法違反をした場合です。
①派遣先の講ずべき措置の規定
②派遣先が特殊健康診断またはじん肺健康診断を実施した場合の派遣元事業主等への結果記録送付義務 他
これらの規定違反により停止・解除した場合は、派遣元事業主は派遣先から債務不履行による損害賠償の責めを負うことはないとされています。
また、派遣元指針において、派遣元事業主は派遣先との連絡体制を確立し、派遣先の定期的な巡回を行うことを定めています。
派遣労働者等の福祉の増進のための措置とは? [ 2019.09.06 ]
派遣元事業主は、派遣労働者(派遣登録者含む)について、各派遣労働者の希望、適性、能力及び経験を勘案して、最も適した就業の機会を確保するよう努めなければなりません。
ここで言う就業の機会には、派遣労働者以外の労働者としての就業の機会も含まれます。
また、派遣労働者の希望とは、就業する期間、日、就業時間や就業場所、就業環境等のことをいい、派遣労働者の希望に沿った就業となるよう努めなければいけません。
派遣労働者への均衡を考慮した待遇の確保のための措置とは? [ 2019.09.05 ]
派遣元事業主は、派遣先の正社員と派遣労働者の間に、待遇の格差が生じているため、派遣労働者の待遇改善の配慮義務を課しました。
具体的な待遇改善とは、①賃金水準、②教育訓練及び福利厚生です。
①賃金水準
派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の正社員の賃金水準を考慮し、かつ職務の内容、成果、意欲、経験等を考慮して、決定するよう配慮すること
②教育訓練及び福利厚生
派遣労働者の円滑な業務の遂行のために有用な物品の貸与や教育訓練について、必要な措置を講ずるよう配慮すること
また、派遣労働者が均衡待遇に関する説明を求められたときは、配慮した事項について、派遣元事業主は説明しなければなりません。
派遣労働者への段階的かつ体系的な教育訓練とは? [ 2019.09.04 ]
派遣元事業主は、派遣労働者に対して、段階的かつ体系的な教育訓練を行わなければなりません。
これは、一般的な正社員より、職業能力形成の機会が得られないという指摘を基に義務づけられたものです。
さて、この段階的かつ体系的な教育訓練とはどのようなものかと言えば、
派遣労働者のキャリアアップが図れる教育訓練ということになります。
・入職時等基礎的訓練
・職能別訓練
・階層別訓練 等
を織り交ぜて、教育訓練計画を作成するということです。
また、教育訓練において以下の条件を整えておかなければいけません。
・1~3年目の派遣労働者については8時間の教育訓練時間が必要
・派遣労働者全員が対象
・有給・無償で実施
・入職時の訓練を含める
・キャリアアップに資する
・無期雇用派遣労働者については、長期的キャリア形成を念頭に置く
特定有期雇用派遣労働者等の雇用安定措置とは? [ 2019.09.03 ]
派遣元事業主は、以下の条件に当てはまる有期雇用派遣労働者に対して、雇用安定措置を講じる必要があります。
措置義務対象者
同一の組織単位の業務に継続して3年間派遣される見込みの有期雇用派遣労働者で、継続就業を希望している者
以下のいずれかの措置を講じる義務があります。
①派遣先への直接雇用の依頼
②新たな就業機会の提供
③派遣元での無期雇用
④安定した雇用の継続を図るために必要な措置(有給教育訓練、紹介予定派遣対象等)
努力義務対象者
・継続して同一の組織単位に1年以上派遣される見込みの有期雇用派遣労働者
・雇用期間が通算1年以上の有期雇用派遣労働者
・雇用期間が通算1年以上となる有期雇用派遣労働者として雇用しようとされる者
上記①~④のいずれかの措置を講じる努力義務があります。
措置義務対象者に対しては、まず①派遣先への直接雇用の依頼を行い、直接雇用に至らなかったときは、②~④の雇用安定措置を行うことになります。
派遣元事業主が講ずべき措置とは? [ 2019.09.02 ]
労働者派遣では、雇用と指揮命令が分かれているため、派遣労働者の保護が図られにくい状況にあります。
そのため、労働者派遣法では、雇用主である派遣元事業主に対して、以下の措置を講ずることを義務付けています。
①雇用の安定等のための措置
②段階的かつ体系的な教育訓練等
③均衡を考慮した待遇の確保のための措置
④派遣労働者等の福祉の増進のための措置
⑤適正な派遣就業の確保のための措置
⑥待遇に関する事項等の説明
⑦派遣労働者であることの明示
⑧派遣労働者に係る雇用制限の禁止
⑨就業条件の明示
⑩労働者派遣に関する料金の額の明示
⑪派遣先への通知
⑫派遣可能期間の適切な運用
⑬日雇労働者についての労働者派遣の原則禁止
⑭離職した労働者についての労働者派遣の禁止
⑮派遣元責任者の選任
⑯派遣元管理台帳の作成、記載および保存
次回から、詳細についてお伝えします。
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