- 株式会社ササエル ホーム
- 派遣ニュース
2019年1月
能力・経験調整指数の適用について、例えば、勤続が5年目の協定対象派遣労働者については、必ず「5年」の指数を使用する必要があるか。 [ 2024.12.22 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-10
能力・経験調整指数の適用について、例えば、勤続が5年目の協定対象派遣労働者については、必ず「5年」の指数を使用する必要があるか。
答
能力・経験調整指数の年数は、協定対象派遣労働者の勤続年数を示すものではないため、必ず「5年」にしなければならないものではない。
例えば、職務給の場合、協定対象派遣労働者が従事する業務の内容、難易度等が、一般の労働者の勤 続何年目に相当するか労使で十分に協議した上で判断することが必要である。
なお、待遇を引き下げることなどを目的として、低い能力・経験調整指数を使用することは、法の趣旨に反するものであり、認められない。
いかがでしたか。
上記のことから、業務の内容や能力・経験などをしっかり定めた上で、運用していく必要があります。
能力・経験調整指数を勤続「0.5年(半年)」目相当に該当すると判断した場合、年数より更に細かく区切った能力・経験調整指数を使うことは可能か。 [ 2024.12.01 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-9
問2-8において、能力・経験調整指数が「4年」、「8年」、「15年」などになった場合の取扱いが整理されているが、例えば、労使で十分に協議した結果、協定対象派遣労働者の業務の内容、難易度等が一般の労働者の勤続「0.5年(半年)」目相当に該当すると判断した場合、年数より更に細かく区切った能力・経験調整指数を使うことは可能か。
答
可能であるが、労使で十分に協議した上で決定する必要がある。
仮に「0.5 年(半年)」目の能力・経験調整指数を当てはめることとなった場合の一般基本給・賞与等の計算方法等は、問2-8の取扱いによる。
なお、待遇を引き下げることなどを目的として、低い能力・経験調整指数を使用することは、法の趣旨に反するものであり、認められない。
いかがでしたか。
可能であるが、労使で十分に協議した上で決定する必要がある。という文言があるように、
労働者代表の選出から協議、周知までしっかり行った上で決定していってください。
4年、8年、15年など、能力・経験調整指数として具体的に示されていない年数になった場合は、一般賃金の額をどのように算出すればよいか。 [ 2024.10.14 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-8
能力・経験調整指数について、1年、2年、3年、5年、10年、20年が示されているが、協定対象派遣労働者の能力及び経験を踏まえた結果、例えば「4年」、「8年」、「15年」など、能力・経験調整指数として具体的に示されていない年数になった場合は、一般賃金の額をどのように算出すればよいか。
答
統計上の制約から、能力・経験調整指数として、「1年」、「2年」、「3年」、「5年」、「10年」、「20年」を示しており、原則として、この指数から選択することとなる。
一方、派遣労働者の能力及び経験が「4年」、「8年」、「15 年」に相当する場合には、労使で十分に協議した上で、これらの年数に相当する額を算出することも差し支えないが、「4年」であれば「3年」、「8年」であれば「5年」、「15年」であれば「10年」、それぞれに相当する額を超えるものでなければならない。
具体的な算出方法としては、例えば、協定対象派遣労働者の能力及び経験が「15年」に相当する場合の額を算出する場合には、「10年」に相当する額が1,500円、「20年」に相当する額が2,000円であれば、次のとおり計算することが考えられる。
計算方法:1,500円+(2,000円-1,500円)×(15年-10年)/(20年-10年)=1,750円
いかがでしたか。
原則としては、能力・経験調整指数については、1年、2年、3年、5年、10年、20年で選択。
原則では実態と合わない場合は、原則の年数以外でもOK。
ただし、原則の年数以上であれば、当該原則の年数以上の金額とする。
ということになります。
賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に同様の職種がある場合、どちらを選択すればよいのか。 [ 2024.10.06 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-7
賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に同様の職種がある場合(例:測量技術者等)、どちらを選択すればよいのか。
答
賃金構造基本統計調査の職種は、「職種一覧と解説」において、職業安定業務統計の職種は「第4回改訂 厚生労働省編職業分類 職業分類表 改訂の経緯とその内容(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)」において、それぞれ職種の具体的な内容を解説している。
これらをもとにして、派遣労働者の業務がこれらの政府統計のいずれの職種と一致するのか、近いのかについて、労使で十分に協議し、比較対象とする職種を決定することが必要である。
なお、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることなどを目的に、職種ごとに統計等を使い分けることは法の趣旨に反するものであり、認められない。
いかがでしたか。
賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計を使い分けることがダメというわけではありませんが、
使い分けている理由を求められます。
理由もなく賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計を職種ごとに分けるということはできないということです。
「基準値(0年)」の金額が地域別最低賃金の額を下回っていた場合 [ 2024.09.22 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-6
「職種別の賃金×能力・経験調整指数×地域指数」の結果、当該額が地域別最低賃金の額を超えている場合、それに対応する「基準値(0年)」の金額が地域別最低賃金の額を下回っていても、協定対象派遣労働者との比較に「基準値(0年)」を使わないのであれば、実際に協定対象派遣労働者との比較に用いる一般賃金の額が地域別最低賃金の額を超えていることとなるから、当該取扱いは問題ないと考えてよいか。
例:北海道の地域別最低賃金額 835円(金額等は令和2年度時点の数値)
職種別の賃金865円(製材工) × 92.0(北海道) = 796円 「基準値(0年)」
職種別の賃金865円(製材工) × 1.16(1年)× 92.0(北海道) = 923円
→このとき、比較する一般賃金額として923円を用いる場合には、これが北海道の地域別最低賃金額の835円以上となっているため問題がないと考えてよいか。
答
上記の場合には、地域別最低賃金の額を「基準値(0年)」とした上で、当該額に能力・経験調整指 数を乗じた額と同等以上の額とする必要があり、能力・経験調整指数として(1年)を選択した場合 の協定対象派遣労働者の賃金の額は、969円(835円 × 1.16(1年))以上でなければならない。 なお、特定最低賃金の場合も、同様の取扱いである。
一般基本給・賞与等の額が最低賃金の額を上回っているかの判断基準はいつなのか。 [ 2024.09.15 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-5
一般基本給・賞与等の額が最低賃金の額を上回っているかの判断において、この最低賃金とは、「①実際に賃金が支払われる時点で適用される額」、「②労使協定が締結される時点で適用される額」、「③局長通達で公表されている賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計の集計対象年度(年)に適用される額」のいずれであるか。
答
「①実際に賃金が支払われる時点で適用される最低賃金の額」を上回っているかを確認しなければ ならない。
局長通達において、一般賃金の算定基礎となる賃金に含まれないこととされている「時間外、 休日及び深夜の労働に係る手当等」の「等」とは何を指すのか。 [ 2024.09.08 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-4
局長通達において、一般賃金の算定基礎となる賃金に含まれないこととされている「時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等」の「等」とは何を指すのか。
答
例えば、「等」には、宿日直手当(本来の職務外としての宿日直勤務に対して支給される給与)及び交替手当(臨時に交替制勤務の早番あるいは後番に対して支給される交替勤務給など、労働時間の位置により支給される給与)が含まれるものである。
いかがでしたか。
職務外や労働時間の位置で支給される手当については一般賃金の算定基礎となる賃金に含まれないということです。
端数処理の方法によっては算出された数字が異なることがあるが、どちらを使用すればよいか。 [ 2024.09.01 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-3
端数処理の方法によっては、
職種別の基準値(①)×能力・経験調整指数(②)×地域指数 (③)で計算して算出された数字と、
局長通達の別添1又は別添2の数値(①×②)×地域指数 (③)で計算して算出された数字が
異なることがあるどちらを使用すればよいか。
例
別添2の102システム設計技術者(令和2年度適用通達の例)
・1,322 円(基準値)×1.16(1年目の能力経験指数)×92.0(北海道の地域指数)=1,411円
・1,534 円(別添2の1年目の額)×92.0(北海道の地域指数)=1,412円
答
別添1又は別添2の数値(①×②)×地域指数(③)を乗じて算出し、1円未満の端数は切り上げとすること(例の場合は「1,412円」を用いる。)
いかがでしたか。
労働者有利にとなる数値を採用してください、ということです。
月給から時給に換算した結果、1円未満の端数が生じた場合はどのように処理すればよいか。 [ 2024.08.25 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-2
協定対象派遣労働者の賃金について、月給から時給に換算した結果、1円未満の端数が生じた場合はどのように処理すればよいか。
答
当該端数は切り捨てとすること。
一般賃金の額と同等以上であることが必要であるため、算出した結果、1円未満の端数が生じた場合には、当該端数は切り捨てた上で、切り捨て後の協定対象派遣労働者の賃金の額と一般賃金の額を比較すること。
いかがでしたか。
つまりは、切り上げして、実際に支給されている金額(この場合時給換算した金額)を大きくすることは、できません(一般賃金の額と同等以上にはならない)ということです。
協定対象派遣労働者の基本給は、どのように時給換算をすればよいか。 [ 2024.08.18 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問2-1
協定対象派遣労働者の基本給は、どのように時給換算をすればよいか。
答
例えば、月給制の場合には、次の方法により計算することが考えられる。
計算方法①:月給 × 12か月 ÷ 52週 ÷ 週の所定労働時間数
計算方法②:月給 ÷ その月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)
いかがでしたか。
例えば、とあるように、回答は一例ではありますが、
給与計算時において、1時間当たりの給与額を求めているように、時給換算するということになります。
今年度から新たに協定対象派遣労働者となる者についても、前年度の一般賃金の額より下がった額を使うことは問題であるか。 [ 2024.08.10 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-21
問1-15 において、今年度適用の一般賃金の額が前年度適用の一般賃金の額より下がった場合であっても、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることは派遣法や労働契約法上の観点から問題となり得ることとなっているが、今年度から新たに協定対象派遣労働者となる者についても同様の対応をする必要があるのか。
答
問1-15は、前年度の賃金の額と比較をした上で、現在雇用している協定対象派遣労働者の賃金の額を現行の金額から引き下げる場合についての回答を記載しているものである。
したがって、今年度から新たに協定対象派遣労働者となる者については、協定賃金が当該年度に適用されている一般賃金の額と同等以上の額となっていれば、派遣法や労働契約法上、直ちに問題となるものではないが、既存の協定対象派遣労働者について前年度から賃金額を引き下げることは、待遇改善を目的とした派遣法の趣旨や労働条件の不利益変更との関係で問題となり得るものであること。
なお、局長通達第3の4に定める合算による方法(以下「合算」という。)を用いて一般賃金の額と同等以上を確保している場合には、合算した賃金額の総額による比較を行うため、その内訳である「基本給・賞与・手当等」、「通勤手当」、「退職金」ごとに比較する必要はないものである。
いかがでしたか。
今年度から新たに協定対象派遣労働者となる者については、今年度適用の一般賃金の額が前年度適用の一般賃金の額より下がった額であっても問題とまでは言えないが、そもそも前年度以前から所属している協定対象派遣労働者の賃金を引き下げること自体、問題となり得ることがあるのではないか、と言っています。
退職手当に係る各種統計調査の最新版を、局長通達が発出される前に使用してもよいか。 [ 2024.08.05 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-20
局長通達別添4に退職手当に係る各種統計調査の結果が示されているが、その統計調査の最新版が公表された場合、新たな局長通達が発出される前から、当該統計調査の結果を一般賃金の水準として使用可能か。
答
仮に別添4に掲載されている統計調査の最新版が公表されたとしても、その時点で発出されている最新の局長通達に当該統計調査結果が示されていなければ、それを一般賃金の水準として直ちに使用することは認められないものである。
ただし、仮に最新の統計調査の結果において、賃金水準が上がっているような場合は、当該調査結果の水準を参考に、「協定対象派遣労働者」の一般賃金の水準について、労使で検討することが否定されるものではない。
また、最新の統計結果を掲載した新たな局長通達が発出された場合には、局長通達に記載のとおり、 通達で定める一般賃金の額を、適用日より前に適用することを妨げるものではないが、通達で定める一般賃金の額を適用日より前に適用することにより、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げる場合は、労働条件の不利益変更となり得るものであることに留意すること。
いかがでしたか。
原則:局長通達が発出されてから適用可。
例外:局長通達が発出されていなくても、賃金水準が上がるのであれば、適用することも可。
注意:原則に当てはまっていても、賃金引き下げになる場合は、不利益変更となり得るので留意。
ということになります。
協定対象派遣労働者の「職種」や「労働契約期間」の範囲を定める客観的な基準について [ 2024.05.19 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-19
協定対象派遣労働者の範囲を定めるにあたり、「職種」や「労働契約期間」といった客観的な基準によらなければならないこととされているが、この基準として、例えば「派遣される事業所所在地の地域」や「派遣先均等・均衡方式を適用しない派遣労働者」、「雇用する全ての派遣労働者」等を定めることに問題はないか。
答
労使協定方式は、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにすることを目的としたものである。
したがって、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」のみを理由として、「派遣される事業所所在地の地域」を協定対象派遣労働者の範囲として定めることは、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理の対象とするかの判断に、就業場所は直接関係ないと考えられることから、その趣旨に反するおそれがあり適当ではない。
また、協定対象派遣労働者の範囲を定めるにあたっては、客観的な基準によることとしているため、例えば「派遣先均等・均衡方式を適用しない派遣労働者」と定めることは、その範囲が客観的に特定されないため、認められないものである。
一方、「雇用する全ての派遣労働者」と定めることは協定対象派遣労働者の範囲が客観的に明らかとなることから、これが直ちに問題となるものではない。
なお、協定対象派遣労働者の範囲を定めるにあたっては、以下の点にも留意が必要である。
・賃金水準を引き下げることを目的に待遇決定方式を変えることは、法の趣旨に反するものである。
・性別、国籍等、他の法令に照らして不適切な基準による場合や、労使協定方式の趣旨に反する場合は認められない。
いかがでしたか。
協定対象派遣労働者の範囲を、
地域で決めたり、均等均衡方式でない派遣社員としたり、することは、
客観性がなく曖昧であることから、求められないものです。
なお書きにも記載があるように、労使協定方式趣旨に反しないように、客観的な範囲を定めましょう。
賃金計算期間が局長通達の適用日をまたぐ場合の給与について [ 2024.03.31 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-18
以下の条件のように、賃金計算期間が局長通達の適用日をまたぐ場合、精算期間の初日が属する3月時点における一般賃金の額と同等以上の金額を4月25日支払の賃金として支払っていれば、4月1日から15日までの間の協定対象派遣労働者の賃金の額が、4月1日以降に適用される一般賃金の額を下回っていても問題ないか。
○局長通達の適用日は4月1日
○賃金計算期間は15日締め、16日起算、25日支払い
○雇用契約期間が2月16日から5月15日
○4月1日からの協定対象派遣労働者の賃金額が同日から適用される一般賃金の額を下回る
○新たな労使協定の有効期間は4月1日から
答
認められない。
局長通達の効力は適用開始日(令和5年度通達であれば令和5年4月1日)から発生するため、上記のように賃金計算期間の途中に適用開始日があり、適用開始日以降、派遣労働者の賃金が一般賃金の額を下回る状態になる場合は法違反となることから、適用開始日以降から新たな労使協定に従った賃金を支払う必要がある。
いかがでしたか。
派遣の労使協定に定めた賃金額は、
労働者派遣法において、
「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額」となるので、
今回の問1-18については、4月1日分から一般賃金額以上に賃金を支払うことになります。
4月1日をまたぐ派遣社員の雇用契約をしていることがあると思うので、確認するよう心がけてください。
派遣の労使協定を2年とした場合の賞与・手当の取扱い [ 2024.01.10 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-17
労使協定において、協定対象派遣労働者の「賞与・手当等」の額を「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」等を用いて計算していた場合、有効期間を2年(例:令和4年4月1日から令和6年3月31日)として協定を締結していたとしても、事業年度が変わる都度「賞与・手当等」の額を算出し直す必要があるか。
答
有効期間を2年以上とする労使協定において、業績に連動した賃金(例:賞与)を用いて一般賃金 の額と比較していた場合、当該期間中に「直近の事業年度に支給された平均額」等に変動が生じた場合は、協定対象派遣労働者の「賞与・手当等」の額を算出し直すことが必要となる。
一方、「標準的な協定対象派遣労働者に支給される額」により算出しており、金額の変動を伴わない場合や、業績に連動しない手当等(例:家族手当、住宅手当)について、就業規則の定めに特段の変更がなく支給額及び支給方法等の実態が変わらない場合には、計算し直すことは必ずしも要しない。
いかがでしたか。
回答としては、前回に近い内容ですが、今回は労使協定を2年とした場合は、どうなのか、という質問でした。
結局は実績をもとにして算出される「直近の事業年度に支給された平均額」は算出し直してください、ということになります。
派遣の労使協定は、1年間で締結しているところが多いのではないかと思いますが、2年以上としてもかまいません。
しかしながら、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」は毎年変わるので、1年で作成しておくのがよいというのが、私たちの見解です。
「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」は毎年度見直す必要があるか。 [ 2023.12.31 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-16
局長通達において、「賞与・手当等」は、「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」等を労使で選択することも可能とされている。
有効期間が1年(例:令和5年4月1日から令和6年3月31日)で、新年度(例:令和6年度)に向けて労使協定を締結し直す場合には、「賞与・手当等」の額を算出し直す必要があるか。
答
協定対象派遣労働者の「賞与・手当等」について、「個々の協定対象派遣労働者に実際に支給される額」、「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」又は「協定対象派遣労働者に支給される見込み額の平均額」を選択している場合には、直近の事業年度の額や最新の見込み額等を更新することが可能なものと考えられることから、「賞与・手当等」の額を算出し直すことが必要である。
なお、「賞与・手当等」について、例えば「標準的な協定対象派遣労働者に支給される額」を選択し、就業規則の定めに特段の変更がなく支給額及び支給方法等の実態が変わらない場合には、労使協定に定める「賞与・手当等」の額が変わらないことは想定されるものである。
いかがでしたか。
「個々の協定対象派遣労働者に実際に支給される額」、「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」又は「協定対象派遣労働者に支給される見込み額の平均額」は、毎年度同じ平均額を使うものではなく、毎年更新してください、ということです。
ちなみに「標準的な協定対象派遣労働者に支給される額」とは、社内に職務評価等があり、それを元に標準的な評価の協定対象派遣労働者が把握できている場合は、その標準的な労働者に支給される額も認められることになっていて、その額に変更なければ「賞与・手当等」の額が変わらないことは想定されるということを言っています。
一般賃金の額が前年度適用の金額から下がったことをもって、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることは可能か。 [ 2023.12.10 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-15
一般賃金の額が前年度適用の金額から下がったことをもって、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることは可能か。
答
労使協定方式が派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにすることを目的としていることに鑑みて、
一般賃金の額が前年度適用の額から下がったことをもって、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げる対応は望ましくなく、
見直し前の労使協定に定める協定対象派遣労働者の賃金の額を基礎として、協定対象派遣労働者の公正な待遇の確保について労使で十分に協議した上で決定すること。
また、
変更後の協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上であれば、法第30条の4第1項第2号イに直ちに違反するものではないが、
派遣労働者の待遇の引き下げ等、労働条件の変更については、これが労働条件の不利益変更と判断される可能性があることに留意するとともに、次の点からも問題となり得ることに留意すること。
① 労使協定に定める昇給規定等の内容によっては、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げることが当該昇給規定等を遵守していないことと判断され、法第30条の4第1項第2号ロ又は第3号に違反する可能性があること。
② 待遇を引き下げることを目的に、労使協定において局長通達別添1(賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金)と別添2(職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額)の選択を恣意的に変更すること等は法の趣旨に反しており認められないこと。
いかがでしたか。
派遣労働者に限らず、最低賃金が下がったから従業員の賃金を下げるということがあまり考えられないと思います。
(もちろん現在最低賃金自体が上がっていっているので、最低賃金が下がるということは現状ありませんが)
同様に賃金基本統計調査や職業安定業務統計の数字が下がったからといって、
それに合わせて下げていくというのもあまり望ましいものではないでしょう。
企業側としては、
能力の高い派遣社員を育成していき、派遣先により良い人材を派遣することで、
しっかり利益を確保できる仕組みを構築していくことも大事だと思います。
過半数代表者の選出手続において、意見の表明がない労働者を全労働者数から除いてよいか。 [ 2023.12.03 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-14
問1-12 に係る過半数代表者の選出手続において、意見の表明がない労働者を全労働者数から除き、残りの労働者の過半数の信任を得た労働者を過半数代表者とする取扱いは認められるか。
答
意見の表明のない者を含む全ての労働者の過半数の信任を得ていない労働者は、過半数代表者とは 認められないものである。
いかがでしたか。
今回は、そりゃそうでしょう。という内容だったかもしれませんが、
企業側から見ると、なかなか意見の表明の連絡が来ない、といった実情も垣間見えるような気がします。
その場合でも、根気強く、連絡を取り続けていきましょう。
過半数代表者の選出手続において、メールの開封を行っているが、意見の表明がない場合。 [ 2023.11.26 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-13
問1-12 に係る過半数代表者の選出手続において、
メールの開封者やイントラネット等の閲覧者を派遣元事業主(所)が確認できる場合は、
メールの開封等を行ったものの、意見の表明がない労働者を信任(賛成)したものとみなす取扱いは認められるか。
答
その手続の適否は、最終的には個別の事案ごとに判断されるものであるが、
一般的には、上記の取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。
このため、例えば意見の表明がなかった労働者に対しては、電話や訪問等により、直接意見を確認す る等の措置を講じるべきである。
いかがでしたか。
問1-12 とは、過半数労働者を決める際に、返信がない場合に信任したと見なされるかどうか、という内容でした。
問1-12 のときにお伝えした通り、派遣労働者は派遣先で働いていることから、
過半数労働者を決める際には、より細やかな対応が必要となってきます。
できるだけ労力を抑えたいと思う気持ちはあるかもしれませんが、
丁寧に対応していくことが、良い信頼関係を生むきっかけとなるのではないでしょうか。
労使協定の過半数代表者の賛否が確認できない場合、信任したと認められるか。 [ 2023.11.19 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-12
労使協定を締結する過半数代表者の選出の手続きにおいて、
ある労働者を過半数代表者として選出することに信任(賛成)するか否かについて、
派遣元事業主(所)が全労働者に確認することとなった。
その確認方法として、派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知し、メールに対する返信のない者を、メールの内容について信任(賛成)したものとみなす取扱いは認められるか。
また、同様の場合に、返信がない場合は信任(賛成)したものとみなす旨をメールに記載している場合は認められるか。
答
過半数代表者の選出には、労働者の過半数が選任を支持していることが明確になるような民主的な手続を経ることが必要である。
その手続の適否は、最終的には個別の事案ごとに判断されるものであるが、一般的には、上記の取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。
例えば、返信がなかった労働者に対しては、電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべきである。
なお、イントラネット等を用いて、労働者の意思の確認を行う場合も同様である。
いかがでしたか。
派遣労働者の場合、派遣先で働くため全員が集合して信任不信任をとるのは実務上難しさがあります。
一方で労使協定は過半数代表者である必要があることから、派遣先で働いている派遣労働者に対して、しっかり連絡をとって、かつ信任不信任の意思表示をとることが、強く求められることになります。
派遣労働者が増えていくほど、派遣先で働いている派遣労働者と社内で働いている労働者との意思疎通の機会が少なくなってしまうことがあります。
こういった労働者代表の選出等の時に、
派遣労働者に積極的に連絡を取ることで、
意思疎通を図る良い機会ととらえることも大事ではないでしょうか。
原則「労使協定方式」、紹介予定派遣の対象者のみ「派遣先均等・均衡方式」は問題ないか。 [ 2023.10.21 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-11
「協定対象派遣労働者の範囲」について、一の事業所において、原則はその全ての派遣労働者に「労使協定方式」を採用するが、紹介予定派遣の対象者のみ、派遣先均等・均衡方式とすることは問題ないか。
答
紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者との間で、待遇決定方式を分けることは、合理的な理由があ れば、否定されるものではない。
なお、単に待遇を引き下げることを目的として、紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者で待遇決定 方式を変更することは、法の趣旨に反するものであり、認められない。
いかがでしたか。
毎度のこととはなりますが、「合理的な理由」というのがポイントとなります。
特にやってはいけないことは、派遣先によって、労使協定方式にしたり、均等均衡方式にしたりすることです。
これは認められませんので、注意してください。
派遣先の希望により、労使協定方式を均等均衡方式に変更してもよいか。 [ 2023.10.01 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-10
労使協定を締結する際に協定対象派遣労働者の範囲を定めることとなっているが、派遣先の希望等により、個別に、協定対象派遣労働者の待遇決定方式を派遣先均等・均衡方式に変更することとしてもよいか。
答
労使協定方式は、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにすることを目的としたものである。
そのため、派遣先の希望等を理由として、協定対象派遣労働者であるか否かを変更することは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、認められない。
また、当然のことながら、待遇を引き下げることを目的として、派遣先ごとに待遇決定方式を変更することも、法の趣旨に反するものであり、認められない。
一方、待遇決定方式を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合などは、この限りでない。
いかがでしたか。
理由もなく、派遣先ごとに労使協定方式にしたり、均等・均衡方式にしたりとすることは認められません。
その理由も、賃金を低く抑えたい、とか、こちらの待遇方式でないと派遣先が契約しないといった理由で、待遇方式を両方使っているということはあってはならないので、注意が必要です。
労使協定の有効期間が2年の場合には、確認書を添付すれば労使協定は不要か。 [ 2023.09.09 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-9
例えば、労使協定の有効期間が2年の場合※には、確認書を添付すれば、労使協定に記載する「通達名」や「一般基本給・賞与等の額」、「一般通勤手当の額」等を修正する必要はないか。
※有効期間の2年目においても、協定対象派遣労働者の賃金の額が、当該年度に適用される一般賃金の額と同等以上であり、確認書を添付する対応の場合。
答
貴見のとおり。
いかがでしたか。
有効期間を2年にし、
派遣労働者の賃金が一般賃金以上であれば確認書でよいことになります。
弊社としては、
有効期間を2年としてしまうと、
毎年の細かなチェック(現状労使協定に課題はないか、今後課題となりそうなところはないか)、
年ごとに確認書→労使協定の締結→確認書→労使協定の締結とするより、
毎年労使協定を作成することの方がもれなく対応でき、失念することもないという観点から、
有効期間を1年とし、毎年労使協定を締結することを勧めています。
確認書を用いた確認はいつまでに実施し、労使協定書に添付する必要があるのか。 [ 2023.08.27 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-8
確認書を用いた確認はいつまでに実施し、労使協定書に添付する必要があるのか。
答
労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変更された場合には、当該変更された一般賃金の額が適用される前までに確認を実施し、確認書を労使協定書に添付することが必要である。
例えば、令和4年4月1日から令和6年3月31日までが有効期間の労使協定について、協定対象派遣労働者の賃金の額が、令和5年度に適用される一般賃金の額と同等以上であることを確認する場合には、令和5年3月31日までに確認を実施し、労使協定書に確認書を添付することが必要である。
また、最低賃金額の改定により協定している一般賃金の額が最低賃金額を下回ることとなった場合、当該最低賃金額を基準値(0年目)として用いることとされていることから、最低賃金額の改定にあわせた協定内容の見直しも必要である。
労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合、算出し直した賃金額が一般賃金の額と同等以上であるときは、労使協定を締結し直すことなく、確認書による対応のみで問題ないか。 [ 2023.08.15 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-7
労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合において、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上である場合には、派遣元事業主は確認書を労使協定書に添付することとなっているが、一般賃金の額の変更に伴い、協定対象派遣労働者の賃金額を算出し直す必要がある場合においても、算出し直した賃金額が、一般賃金の額と同等以上であるときは、労使協定を締結し直すことなく、確認書による対応のみで問題ないか。
答
協定対象派遣労働者の賃金の額を算出し直すなど、労使協定における協定対象派遣労働者の賃金の額を変更する場合には、労使協定を締結し直す必要がある。
一般賃金の額が変更となった際に確認書を労使協定書に添付する対応は、一般賃金の額が変更となった場合であって、かつ協定対象派遣労働者の賃金の額を変更することなく、一般賃金の額と同等以上の額であることが確認できる場合のみである。
よって、一般賃金の額の変更に伴い協定対象派遣労働者の賃金の額を変更する場合は、改めて労使協定を締結し直すことが必要であり、確認書を労使協定書に添付することのみによる対応は認められない。
いかがでしたか。
確認書で対応できるのは、
賃金額の変更がない場合です。
労使協定の有効期間中に、
一般賃金の額が変わり、
それに伴い賃金額を変更することによってクリアする場合は、
確認書ではなく、労使協定を再度締結することが必要になります。
労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合、労使協定を締結し直す必要があるのか。 [ 2023.08.07 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-6
労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合、労使協定を締結し直す必要があるのか。
答
一般賃金の額は毎年度、厚生労働省職業安定局長通達(以下「局長通達」という。)により示される が、労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合には、有効期間中であっても、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額であるか否か確認することが必要である。その確認の結果、労使協定に定める協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額ではない等により、労使協定に定める賃金の額を変更する場合には、労使協定を締結し直す必要があること。
一方、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額であり、かつ協定対象派遣労働者の賃金の額を変更しない場合には、労働者派遣事業関係業務取扱要領に定める「同額以上の額で あることを確認した旨の書面」(以下「確認書」という。)を労使協定書に添付する対応でも差し支えない。
いかがでしたか。
一般賃金に変更があった場合、
賃金に変更があれば当然のことですが、
賃金に変更がなかったとしても、確認書面が必要となりますので、
忘れないようにしましょう。
労使協定書には、就業規則・賃金規程等によることとする旨を定めるとの記載でよいか。 [ 2023.07.29 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-5
労使協定書には具体的な内容を定めず、就業規則、賃金規程等によることとする旨を定めることとしてよいか。
答
貴見のとおり。
なお、当然のことながら、法第30条の4第1項各号に掲げる事項(労使協定に定めるべき事項)については、労使協定自体に具体的に定めなかったとしても、就業規則、賃金規程等に具体的な内容を定めることが必要である。
また、派遣元事業主は、則第17条第3項に基づき、厚生労働大臣に毎年度提出する事業報告書に労使協定書を添付する必要があるところ、法第30条の4第1項各号に掲げる事項が就業規則、賃金規程等に定められている場合には、労使協定書本体に加えて、労使協定で引用している就業規則、賃金規程等もあわせて事業報告書に添付する必要がある。
いかがでしたか。
労使協定上に記載すると分量が多くなってしまうような場合は、就業規則、賃金規程等によることとする旨でよいと思いますが、
可能であるなら、労使協定上に記載したほうが、
労働者代表に対する説明もしやすいですし、
派遣に関わるスタッフが内容を確認する際もスムーズに進むでしょう。
労使協定書には、比較対象となる一般賃金の額も記載する必要があるのか。 [ 2023.06.18 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-4
労使協定書には、協定対象派遣労働者の賃金の額のほか、その比較対象となる一般賃金の額も記載する必要があるのか。
答
貴見のとおり。
法第30条の4第1項第2号イにより、
労使協定書には、一般賃金の額と同等以上である協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法を定めることとされているため、
同等以上であることが客観的に明らかとなるよう、協定対象派遣労働者の賃金の額に加え、その比較対象となる一般賃金の額も記載することが必要である。
いかがでしたか。
労使協定は、同一労働同一賃金であることを確認する意味合いがあるものですので、
算出した比較対象となる一般賃金の額を労働組合や労働者代表に同一賃金以上であることを提示し合意することで、正当なものになります。
締結済みの労働協約をもとに、労使協定を締結することは可能か。 [ 2023.06.12 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-3
既に締結されている労働協約をもとにして、労使協定を締結することは可能か。
答
原則、法第30条の4第1項の労使協定を別途締結することが必要であるが、
法第30条の4第1項各号の事項について、
労働協約を参照する旨を定めることを労使で合意しており、
かつ労使協定書に当該内容が明記されている場合は差し支えない。
また、派遣元事業主は、
則第17条第3項に基づき、厚生労働大臣に毎年度提出する事業報告書に労使協定書を添付する必要があるところ、
法第30条の4第1項各号に掲げる事項が労使協定書に記載されておらず、
労働協約を参照する旨が定められている場合には、
労使協定書に加えて、参照している労働協約もあわせて事業報告書に添付する必要がある。
いかがでしたか。
法第30条の4第1項の労使協定は事業報告書にコピーを添付することが必須であり、
労働協約を参照との記載があれば、労働協約のコピーも添付する必要があります。
そうであれば、法第30条の4第1項の労使協定に全ての事項をしっかり明記したほうが、
提出漏れは軽減できるのではないでしょうか。
労使協定の過半数代表者はどのように選出すればよいか。 [ 2023.05.20 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-2
派遣労働者が各々異なる派遣先に派遣されており、労使協定を締結する過半数代表者の選出が困難であるが、どのように選出すればよいか。
答
例えば、派遣労働者の賃金明細を交付する際や派遣元事業主が派遣先を巡回する際に、労使協定の 意義や趣旨を改めて周知するとともに、立候補の呼びかけや投票用紙の配付、社内のイントラネット、メール等により立候補の呼びかけや投票を行わせることが考えられる。
なお、労働者派遣法施行規則(以下「則」という。)第 25 条の6第3項のとおり、派遣元事業主は、過半数代表者が労使協定の事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。
この「必要な配慮」には、例えば、過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要とな る事務機器(イントラネットや社内メールを含む。)や事務スペースの提供を行うことが含まれるものである。
また、労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働に関する協定の締結や、同法第89条に基づく就業規則の作成又は変更を行う場合にも、(過半数労働組合が存在しない場合は)当然に過半数代表者 の選出が必要である。
いかがでしたか。
派遣社員の人数が少なかったり、就業場所がある程度限られている場合は、直接周知することも可能でしょうが、実務的にはなかなか難しいことが考えられますので、イントラネット等を使って、過半数代表の選出から、労使協定の締結・周知までシステマティックに流れを作っておくとよいでしょう。
数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能か。 [ 2023.05.14 ]
厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」(集約版)令和5年1月31日更新
問1-1
数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能か。
(例:関東地方に所在する事業所でまとめて労使協定を締結)
答
貴見のとおり。
ただし、待遇を引き下げることなどを目的として、数か所の事業所を一つの締結単位とすることは、 労働者派遣法(以下「法」という。)の趣旨に反するものであり、認められない。
また、この場合、比較対象となる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の 平均的な賃金の額(以下「一般賃金の額」という。)を算定する際の地域指数については、協定対象派遣労働者ごとに、その派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む都道府県又はハローワーク管轄地域の指数を選択する必要があることに留意すること。
さらに、数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とする場合、派遣労働者が多数となり、また、 派遣先の業種、派遣先地域も多岐にわたることによって賃金体系等が複雑化し、複数の事業所の派遣労働者全体の利益を適切に代表する過半数代表者を選出することが困難となる可能性がある。
このため、数か所の事業所を労使協定の締結単位とする場合には、過半数代表者が民主的手続により選出されるよう、特に留意する必要がある。
仮に過半数代表者を適切に選出していないと認められた場合には労使協定方式が適用されず、法第 30 条の3の規定に基づき、派遣先均等・均衡方式により派遣先に雇用される通常の労働者との均等・ 均衡待遇を確保する必要があることに留意すること。
いかがでしたか。
複数の派遣事業を行うための事業所がある場合、
効率性を考えて事業所ごとではなく、事業所をまとめて労使協定を作成することも可能です。
どのくらい事業所があるかによりますが、
例のように、関東で複数の事業所を持っている場合は、
まとめることで効率性が上がることが期待されますが、
東京、大阪、仙台のように若干離れている事業所を持っている場合は、
それぞれの事業所で締結された方がよいでしょう。
派遣会社の調査について [ 2023.05.12 ]
ここ最近、派遣会社への調査の増加を実感しています。
一般的な定期調査が主となり、
定期調査なのでどの派遣会社にも定期的に行われるものですが、
完全にコロナ明けをしたため、
今までなかなか進まなかった定期調査が一気に行われているように感じています。
派遣会社のみならず、
派遣「先」会社にも調査が入っています。
派遣会社には、
整備しなくてはいけない様々な書類がありますので、
調査を機にきちんと整備をしていきたい、
整備をしているが正しく整備できているのか不安
という方は、
この機会をとらえて、
派遣会社としての実務環境整備を進めていきましょう。
労使協定方式の自主点検⑪《関係者への待遇決定方式の情報提供》 [ 2023.04.15 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【関係者への待遇決定方式の情報提供】についてです。
労使協定を締結しているか否かについて、関係者(派遣労働者、派遣先等)への情報提供を行っていますか?
[点検のポイント]
□情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することが原則です。
※協定を締結している場合には、協定対象派遣労働者の範囲及び協定の有効期間の終期の情報を提供する必要があります。
いかがでしたか。
会社の派遣情報をインターネットで公開することに躊躇してしまうかもしれませんが、
インターネットなどにより派遣状況を確認し、より適切な派遣会社を選択できるよう情報公開が派遣会社に義務付けられてますので、しっかりホームページに掲載しましょう。
労使協定方式の自主点検⑩《事業報告》 [ 2023.03.31 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【事業報告】についてです。
労使協定を添付して、労働者派遣事業報告書を提出していますか?
[点検のポイント]
□派遣元事業主は、6月末までに都道府県労働局への報告が必要です。
□労使協定に定める事項について、労働協約、就業規則、賃金規程等を引用又は参照することを定めている場合は、その労働協約、就業規則、賃金規程等も添付する必要があります。
いかがでしたか。
労使協定のコピーは6月の事業報告書に添付して提出しますが、
労使協定自体は4/1からの協定であることが一般的ですので、
その場合は、3/31までに労使協定を締結しておく必要があります。
労使協定方式の自主点検⑨《労働者派遣契約の締結等》 [ 2023.03.21 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【労働者派遣契約の締結等】についてです。
労働者派遣契約書などに、派遣労働者の同一労働同一賃金に関係して、記載事項として追加された項目を記載していますか?
[点検のポイント]派遣労働者の同一労働同一賃金に関係して追加された項目
□労働者派遣契約書
→「責任の程度」及び「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否か別」
□派遣元管理台帳
→「協定対象派遣労働者であるか否かの別」及び「責任の程度」
□派遣元事業主から派遣先への通知
→「協定対象派遣労働者であるか否かの別」
□就業条件等の明示
→「責任の程度」
※責任の程度:派遣労働者が従事する業務に伴って行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等のことをいいます。
(例)副リーダー(部下2名、リーダー不在の間における緊急対応が週1回程度有)
いかがでしたか。
当初の契約等から変更していないということであれば、
追加項目は限られているので、
今すぐ変更しましょう。
労使協定方式の自主点検⑧《待遇に関する事項等の説明》 [ 2023.03.12 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【待遇に関する事項等の説明】についてです。
派遣労働者の雇入れ時や派遣時に、待遇に関する明示や説明を適切に行っていますか?
[点検のポイント]
□派遣労働者の雇入れ時に、あらかじめ、労働基準法第15条に基づく労働条件の明示のほか、労働条件に関する次の事項を文書の交付、FAX、電子メール等により、明示することが必要です。
①昇給の有無
②退職手当の有無
③賞与の有無
④労使協定の対象となる派遣労働者であること及び労使協定の有効期間の終期
⑤派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
□派遣労働者の派遣時に、労使協定の対象となる派遣労働者であること及び労使協定の有効期間の終期を文書の交付、FAX、電子メール等により、明示することが必要です。
□派遣労働者の雇入れ時に、あらかじめ、次の事項を説明しなければなりません。また、その説明は、書面を活用して行うことが基本です。
・労使協定方式によりどのような措置を講ずるか
※労使協定方式の対象とならない法第40条第2項の教育訓練及び同条第3項の福利厚生施設についても、説明が必要です。
□派遣労働者から求めがあったときは、協定対象派遣労働者の賃金が労使協定で定めた事項及び労使協定の定めによる公正な評価に基づき決定されていること等について説明する必要があります。
□派遣労働者から求めがあったときは、協定対象派遣労働者の待遇(※)が派遣元事業主に雇用される通常の労働者との間で不合理な相違がなく決定されていること等について、説明することが必要です。
※賃金、派遣先で業務の遂行に必要な能力を付与する教育訓練及び派遣先の福利厚生施設(教育施設、休憩室、更衣室)の利用を除く。
※派遣労働者から求めがない場合でも、派遣労働者に対し、労使協定方式などに関する決定をするに当たって考慮した事項に変更があったときは、その内容を情報提供することが望ましいものです。
いかがでしたか。
派遣時や雇入れ時において多くのことを明示しなければならないように感じますが、
何を明示すべきかまとめてしまえば、それほど大変なことではないので、
一度スクリプトを作成してみるとよいでしょう。
労使協定方式の自主点検⑦《派遣先からの待遇情報の提供》 [ 2023.02.25 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【派遣先からの待遇情報の提供】についてです。
派遣先から、待遇(※)に関する情報提供を書面の交付、FAX、電子メール等により受けていますか?
(※)「派遣先で業務の遂行に必要な能力を付与する訓練」及び「派遣先の福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用」
[点検のポイント]
□情報提供がないときは、派遣元事業主は、労働者派遣契約を締結することはできません。
□情報提供の内容は、漏れがないことが必要です。
□情報を受けた場合、労働者派遣が終了した日から起算して3年を経過する日まで保存することが必要です。
いかがでしたか。
派遣元においては、上記の情報を入手する必要があることが分かっていても、
派遣先においては、派遣労働者の同一労働同一賃金で派遣先が果たすべき役割や業務を理解されていない場合があります。
派遣元は派遣先に丁寧に説明し、派遣先から漏れなく待遇情報の提供をもらいましょう。
労使協定方式の自主点検⑥《労使協定の周知》 [ 2023.02.18 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【労使協定の周知】についてです。
締結した労使協定を書面の交付等の方法により、その内容を雇用する労働者に周知していますか?
他の労使協定と同様の取り扱いですが、
派遣会社の場合、
派遣社員はそれぞれの派遣先において働いているため、
周知が難しい業種です。
そのため、厚生労働省では、
以下のような省令を出しています。
周知方法については、
就業場所が派遣先であるという派遣労働者の特性を踏まえ、
他の労使協定の周知方法とは異なり、
次の①〜③のいずれかにより周知することを省令で規定することとしている。
<周知方法の概要>
① 書面の交付等(書面の交付、ファクシミリの送信、電子メール等(SNSを含む。))
② 電子計算機に備えられたファイル、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、労働者が当該記録の内容を常時確認できるようにすること。
(例えば、IDとPWによりマイページで確認できるようにすることを想定。)
③ 常時派遣元事業主の各事業所の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること
(当該協定の概要について、①の方法により併せて周知する場合に限る。)。
また、望ましい対応等として、以下の内容も記載してあります。
1.方法③の「概要」について
概要には、少なくとも、対象となる派遣労働者の範囲、派遣労働者の賃金(基本給、賞与、通勤手当、退職手当等)の決定方法及び有効期間を盛り込み、派遣労働者が容易に理解できるものとすることが望ましいこと。
2.派遣労働者希望時の協定本体の交付について
労使協定の周知の趣旨を踏まえると、派遣労働者が求める場合には、いつでも閲覧できるようにすることが必要であるため、派遣労働者が希望する場合には、労使協定本体を書面の交付等により周知することが望ましいこと。
いかがでしたでしょうか。
派遣会社ならではの対応方法の難しさがありますので、
より細やかな対応を心掛けるようにしてください。
労使協定方式の自主点検⑤《同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の確認》 [ 2023.02.12 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の確認】についてです。
派遣労働者の賃金の決定方法を労使協定に定めるにあたり、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(一般賃金)の額と同等以上となるよう労使協定に記載していますか?
[点検のポイント]
(基本給・賞与等:一般賃金)
□ 一般基本給・賞与等の計算が正しいことが必要です。
※ 計算方法:職種別の基準値(0年)×能力・経験調整指数×地域指数
※ 計算結果、1円未満の端数が生じた場合には、当該端数を切り上げることが必要です。
※ 計算結果、基準値(0年)の額が最低賃金を下回る場合は、最低賃金の額を「基準値(0年)」の額としたうえで、当該額に能力・経験調整指数を乗じることにより、一般基本給・賞与等の額を算出することが必要です。
□ 賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計のどちらを使うか、明記することが必要です。
□ 職種の選択を適切に行うことが必要です。
※ 一般基本給・賞与等の算定の際に、局長通達の別添1または別添2から職種を選択する際は、協定対象派遣労働者が従事する業務と最も近いと考えられるものを選択することが考えられます。
例えば、協定の対象となる派遣労働者の「中核的業務」をもとに選択します。
□ 能力・経験調整指数の当てはめ方が適切であることが必要です。
※ 能力・経験調整指数は、協定対象派遣労働者の能力及び経験を踏まえつつ、一般の労働者の勤続何年目相当に該当するかを考慮して適切なものを選択することが必要です。
※ 基本的には労使で選択するものですが、派遣労働者の能力・経験を考慮せず、0年目の能力・経験調整指数を一律に当てはめる場合などは問題となる可能性があります。
□ 地域指数の選択が適切であることが必要です。
※ 地域指数は、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」の所在地で判断します。
(基本給・賞与等:協定対象派遣労働者の賃金)
□ 協定対象派遣労働者の賃金額が一般賃金額と同等以上であることが必要です。
※ 協定対象派遣労働者の月給などを時給換算額に置き換える際に、適切な計算方法であることが必要です。
□ 現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっている場合に、一般賃金の額の水準に引き下げるなど、賃金を引き下げることは、問題があります。
□ 時間外手当、深夜手当、休日手当、宿日直手当、交替手当は、一般賃金及び協定対象派遣労働者の賃金に含めることはできません。
※固定残業代についても、原則は協定対象派遣労働者の賃金の対象にはなりません。
(通勤手当)
□ ①実費支給により「同等以上」を確保する場合と、②一般の労働者の通勤手当に相当する額と「同等以上」を確保する場合(合算を含む)のどちらを使うか記載することが必要です。
□実費支給に上限があり、その上限額が一般の労働者の通勤手当に相当する額(時給換算した額)未満となっている場合は、「①実費支給により「同等以上」を確保する場合」としては認められません。
(退職金)
□ 以下の選択肢1~3のいずれを使うか記載することが必要です(基本給・賞与等と合算する場合を除く)。
選択肢1:退職金制度による方法(局長通達 別添4で設定された一般の労働者の退職手当制度と同等以上)
選択肢2:退職金前払いによる方法(前払いによる支給額が時給換算で一般基本給・賞与等の額の6%以上)
選択肢3:中小企業退職金共済制度などへの加入による方法(掛金などの退職給付の費用が一般の労働者の退職給付等の費用の割合と同等以上)
□ 選択肢1(退職金制度による方法)の場合、一般退職金と比べて、派遣元事業主の退職金水準が、同水準以上となっていることが必要です。
※ 一般退職金と比較する際は、協定対象派遣労働者の退職時の所定内賃金額を用いて比較することが必要です。
いかがでしたか。
労使協定書を作成する際の一番のキモと言ってよいところです。
よく理解ができていないまま作成してしまうと、
一般の労働者と比較して同等以上になっていなかった、
内容に漏れがあった、
ということが起きてしまいます。
そのようなことが起きないためにも、
派遣事業に詳しい社会保険労務士に確認してもらうことも大事になってくるでしょう。
(当所のアピールではなく、派遣事業を適正に行って、憂いなく事業を推進していくためにも必要という意味です)
労使協定方式の自主点検④《労使協定に定める事項②》 [ 2023.02.06 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【労使協定に定める事項等】の2つ目です。
労使協定で定めた事項の遵守や、公正な評価の取り組みを行っていますか?
当然なことではありますが、
労使協定を定めることで終了ではなく、
労使協定通りに運用していくことが必要です。
特に、
派遣労働者の最低賃金のラインや
給与にかかわる人事考課制度を
しっかり運用していかなければいけません。
労使協定に定めた事項を遵守していない場合や公正な評価に取り組んでいない場合は、
労使協定方式は適用されず、派遣先均等・均衡方式となります。
労使協定方式の自主点検③《労使協定に定める事項》 [ 2023.01.28 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【労使協定に定める事項等】についてです。
労使協定において、必要な事項を定めていますか?
[点検のポイント]
□労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載することが必要です。
※協定の対象となる派遣労働者の範囲を定める際には、職種(一般事務、エンジニアなど)や労働契約期間(有期、無期)などといった客観的な基準が必要です。
※その範囲を「賃金水準が高い企業に派遣する労働者」、性別、国籍などの他の法令に照らして不適切な基準とすることは認められません。
□労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合には、その理由を記載することが必要です。
□派遣労働者の職務の内容や成果、意欲、能力、経験等の向上があった場合に賃金が改善されるものであること(昇給規定等)を記載することが必要です。
※例えば、「職務内容等の向上があった場合に追加の手当を支給」、「職務内容等の向上があった場合に職務の内容等の向上に応じた基本給・手当等を支給」「職務内容等の向上があった場合に、より高度な業務に係る派遣就業機会を提供」などの方法があります。
□派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力または経験などを公正に評価して賃金を決定することを記載することが必要です。
□「労使協定の対象とならない待遇」(法第40条第2項の教育訓練及び法第40条第3項の福利厚生施設(※)および「賃金」を除く待遇について、派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で不合理な相違がないことを記載することが必要です。
※派遣先で業務の遂行に必要な能力を付与する教育訓練及び派遣先の福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)
□派遣労働者に対して段階的・計画的な教育訓練を実施することを記載することが必要です。
□労使協定の有効期間(始期と終期)を記載することが必要です。
□署名や記名押印などにより、過半数労働組合又は過半数代表者と締結していることを明確にすることが必要です。
いかがでしたか。
労使協定においては、
公正な評価における賃金の決定が必要となります。
今まで賃金決定の方法が明確となっていない場合は、
派遣労働者に限らず、会社全体において公正な評価ができる人事制度を構築する必要があるでしょう。
人事制度を上手に運用できれば、生産性の向上、離職率の低下、トラブルの回避につながっていきます。
労使協定方式の自主点検②《労使協定の締結単位》 [ 2023.01.19 ]
厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」
今回は、【労使協定の締結単位】についてです。
労使協定の締結単位は、適切ですか?
[点検のポイント]
□労使協定は、「派遣元事業主単位」又は「労働者派遣事業を行う事業所」単位で締結することが必要です。これより、小さい単位で締結することは認められません。
□恣意的に締結単位を分けることにより待遇を引き下げることは、労働者派遣法の趣旨に反するものであり認められません。
いかがでしたか。
労使協定の締結単位は、
派遣先事業主ごとや職種ごとに締結するものではありません。
労使協定が「派遣元事業主単位」又は「労働者派遣事業を行う事業所」単位になっているか、
再度確認しておきましょう。
労使協定方式の自主点検①《過半数代表者の選出等》 [ 2023.01.07 ]
労働者派遣法における派遣労働者の同一労働同一賃金において「労使協定方式」を採用している場合、
適切な労使協定でないことで、「労使協定方式」は認められず、「派遣先均等・均衡方式」とされる場合があります。
厚生労働省より「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」が掲載されていますので、
順番に確認していきましょう。
今回は、【過半数代表者の選出等】についてです。
労働者の過半数で組織する労働組合又は過半数代表者との間において、
書面により労使協定を締結していますか?
[点検のポイント]
□過半数代表者は、派遣労働者を含むすべての労働者から選出されていることが必要です。
□過半数代表者は、労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないことが必要です。
□過半数代表者は、労使協定を締結する者を選出することを明らかにして実施される民主的な方法(投票、挙手など)により選出されていることが必要です。
□労働者の過半数から信任を得ていることが必要です。
※メール送信の方法による場合であっても、労働者の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続であることが必要です。
□過半数代表者は、派遣元事業主の意向に基づき選出された者ではないことが必要です。
□「過半数代表者であること」、「過半数代表になろうとしたこと」または「過半数代表者として正当な行為をしたこと」を理由として、不利益な取扱いをしてはいけません。
□過半数代表者が協定に関する事務を円滑に遂行できるよう必要な配慮を行うことが必要です。
※例えば、過半数代表者が労働者の意見集約などを行う際に必要な事務機器(イントラネットや社内メールを含む)や事務スペースの提供を行うことなど、派遣元事業主は配慮を行わなければなりません。
いかがでしたか。
過半数代表者を決めるには、上記のようなポイントがあります。
特に派遣会社は派遣社員が様々な場所で働いているため、
過半数代表者の決定や労働者の意見集約に時間がかかることも考えられます。
電話、メール、SNS、イントラネット等を上手に活用して、
迅速かつ適切に行うことが肝要となります。
職業紹介事業者の返戻金制度について [ 2022.08.14 ]
職業紹介事業者が求人者及び求職者に対して明示すべき事項や、人材サービス総合サイトに掲載すべき事項として、「返戻金制度に関する事項」が定められているが、
「返戻金制度に関する事項」については、
① 返戻金制度を設けていない場合には明示等の必要はないのか。
② 「返戻金制度がある」とだけ明示等を行えばよいのか。
③ 事業所内の一般の閲覧に便利な場所に返戻金制度について記載した書面を掲示しなければならないことになっているが、職種、期間等により、適用される返戻金制度の内容が異なる場合に、詳細部分は別冊で示すこととすることは可能か。
厚生労働省の回答
① 「返戻金制度に関する事項」とは、返戻金制度の有無及びその内容を指します。
そのため、返戻金制度を設けていない場合も、返戻金制度がない旨の明示等が必要です。
② 返戻金制度を設けている場合は、返戻金制度の内容(適用される条件、返戻金の金額や割合等)についても明示等が必要となります。
③ 返戻金制度の具体的内容については、掲示を行うことが必要です。
ただし、事業所における掲示においてその内容が細分化され多岐にわたる場合等には、事業所を訪問した求人者及び求職者が誰でも閲覧できる状況にした上で、別冊にて記載すること等も可能です。
なお、これらと併せて、人材サービス総合サイトへも PDF 化による掲載や関係URLの掲載等により、広く一般の方向けの情報提供を行う必要があります。
無期雇用就職者の離職調査について [ 2022.08.10 ]
職業紹介実績等の情報提供のため、
職業紹介事業者は、紹介した無期雇用就職者が6か月以内に離職したかどうか把握する必要があるが、求人先の雇用主に対して調査を行わなければならないと規定されている。
調査については、求人先の雇用主に対して行うことのみが認められ、
求職者に連絡を取ることは禁止されているのか。
厚生労働省の回答
○ 調査の方法は、求人者に対する調査に限られるものではなく、職業紹介事業者において方法を工夫していただくことは可能です。
○ なお、一般的には求人先の雇用主に対して調査を行うことが確実かつ簡便であると考えられますので、求人先の雇用主への調査を行うことを原則として規定されています。
これを踏まえ、求人先の雇用主は職業紹介事業者の調査に協力すべき旨が定められています。
○ 仮に求職者に対して調査を行う場合は、個人情報の保護や、求人者及び求職者とのトラブルの予防、求職者に対する転職勧奨と誤解されないようにすること等に配慮することが必要です。
職業紹介業者の転職勧奨について [ 2022.08.06 ]
職業紹介事業者は、その紹介により就職した者に対し、就職後2年間は転職勧奨を行ってはならないとされています。
これに関して、
① 紹介した求職者に対して、定着支援等のために連絡を取ることは禁止されないと考えてよいか。
② 求職登録の勧誘等を行っていたところ、後から転職勧奨禁止の対象者に該当することが判明した場合(※)、どのように対応すべきか。
(※)匿名又は仮名で求職の申込みを行っていた場合等
厚生労働省の回答
① 紹介した求職者に対して一切連絡を取ってはならないというものではなく、転職の勧奨を行うものでない限り、紹介した求職者に対する事後的なサービス等を行うことは可能です。
ただし、紹介先の求人者から、転職勧奨を行っているとの誤解を受けた場合にはトラブルが発生する可能性もあるため、そのような誤解を受けないよう配慮することが必要です。
② 事例のように、対象者に対して意図的に声かけを行ったわけではない場合には、その時点では不適切な行為とは言えません。
ただし、転職勧奨禁止の 対象者であることが判明した段階で、それ以降の転職勧奨(求職登録の勧誘)を控えることが必要です。
複数の紹介事業所間の提携による意思確認について [ 2022.08.02 ]
複数の職業紹介事業者と業務提携を行う場合には、
求人情報又は求職情報を提携先の職業紹介事業者へ提供をする前に、
当該求人者又は求職者に対して意思確認することが必要とされているが、
「一度に意思確認する提携先は10以内とすること」とされている。
この場合、複数回意思確認を繰り返せば、10を超える提携先について求人情報又は求職情報を提供することも可能か。
厚生労働省の回答
○ 一回の意思確認において10以内であれば、求人者又は求職者に対して、複数回意思確認を繰り返すことも妨げられるものではありません。
○ ただし、求人者又は求職者が提携先のそれぞれの職業紹介事業者について同意の有無を判断できるようにすることが必要であるため、
意思確認を繰り返す場合においても、求人者又は求職者が適切に判断できるよう、判断に必要となる情報や時間を確保する等の配慮が必要です。
職業紹介に全く関与しない従業員も教育は必要? [ 2022.07.29 ]
職業紹介責任者の責務として、職業紹介の従業者に対して必要な教育を行うことが規定されているが、職業紹介に全く関与しない従業員に対しても教育を行う必要があるのか。
厚生労働省の回答
○ 例えば、求人又は求職の受理又は管理、求職者の個人情報の管理等、職業紹介の業務の一部を行っている職員は、全て教育の対象となります。
○ 一方、職業紹介に全く関与しない職員に対してまで、職業紹介の運営に関 する教育を義務付けられているわけではありません。
職業紹介は許可を受けた事業所以外でも行うことができる? [ 2022.07.26 ]
職業紹介事業者の事業所以外でも職業紹介を実施できるようになったとのことだが、
プライバシーが確保される場所であって、
職業紹介責任者が当該場所にいれば、
労働局に届け出た事業所以外であっても職業紹介を行う事ができると理解してよいか。
厚生労働省の回答
○ 職業紹介事業は、原則として、許可を受け又は届出を行った事業所において行わなければなりませんが、イベントや出張相談等の一時的・臨時的な場において求人・求職の受理等を行う場合を想定し、事業所外において職業紹介を行うことを可能としています。
○ その場合でも、個室の設置、パーティーション等での区分により、プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能な場所において、職業紹介責任者が現場にいる又は速やかに到着できる体制を整えておく必要があります。
○ なお、上記のような想定を超え、一定の場所を拠点として恒常的に職業紹介を行う場合は、事業所の新設の届出を行う必要があります。
労働条件の変更を行う場合、変更が無かった部分も含め書面交付が必要か? [ 2022.07.23 ]
法第5条の3第3項で義務付けられている労働条件の変更等明示を行うに当たっては、
変更等が無かった部分も含めて全ての労働条件を網羅した書面を交付しなければならないのか?
厚生労働省の回答
○ 法第5条の3第3項の変更等明示に当たっては、
必ずしも全ての労働条件 を網羅することは必要ではなく、
変更・追加・削除・特定(以下「変更等」とします。)のあった箇所を明示することでも差し支えありません。
○ なお、明示方法については、
求職者等が労働条件の変更等を正確に認識しやすくなるよう、
変更箇所を明確にした上で全てを網羅した求人票を交付することや、
変更事項のみ明示する場合はその旨を分かりやすい形で記載するなどの工夫を行っていただくことが求められます。
最新記事
- 能力・経験調整指数の適用について、例えば、勤続が5年目の協定対象派遣労働者については、必ず「5年」の指数を使用する必要があるか。
- 能力・経験調整指数を勤続「0.5年(半年)」目相当に該当すると判断した場合、年数より更に細かく区切った能力・経験調整指数を使うことは可能か。
- 4年、8年、15年など、能力・経験調整指数として具体的に示されていない年数になった場合は、一般賃金の額をどのように算出すればよいか。
- 賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に同様の職種がある場合、どちらを選択すればよいのか。
- 「基準値(0年)」の金額が地域別最低賃金の額を下回っていた場合
- 一般基本給・賞与等の額が最低賃金の額を上回っているかの判断基準はいつなのか。
- 局長通達において、一般賃金の算定基礎となる賃金に含まれないこととされている「時間外、 休日及び深夜の労働に係る手当等」の「等」とは何を指すのか。
- 端数処理の方法によっては算出された数字が異なることがあるが、どちらを使用すればよいか。
- 月給から時給に換算した結果、1円未満の端数が生じた場合はどのように処理すればよいか。
- 協定対象派遣労働者の基本給は、どのように時給換算をすればよいか。
月別記事
- 2024年12月 ( 2 )
- 2024年10月 ( 2 )
- 2024年9月 ( 4 )
- 2024年8月 ( 4 )
- 2024年5月 ( 1 )
- 2024年3月 ( 1 )
- 2024年1月 ( 1 )
- 2023年12月 ( 3 )
- 2023年11月 ( 2 )
- 2023年10月 ( 2 )
- 2023年9月 ( 1 )
- 2023年8月 ( 3 )
- 2023年7月 ( 1 )
- 2023年6月 ( 2 )
- 2023年5月 ( 3 )
- 2023年4月 ( 1 )
- 2023年3月 ( 3 )
- 2023年2月 ( 4 )
- 2023年1月 ( 3 )
- 2022年8月 ( 4 )
- 2022年7月 ( 6 )
- 2022年6月 ( 5 )
- 2021年10月 ( 6 )
- 2021年9月 ( 9 )
- 2021年8月 ( 9 )
- 2021年7月 ( 9 )
- 2021年6月 ( 8 )
- 2021年5月 ( 9 )
- 2021年4月 ( 9 )
- 2021年3月 ( 12 )
- 2021年2月 ( 18 )
- 2021年1月 ( 16 )
- 2020年12月 ( 17 )
- 2020年11月 ( 5 )
- 2020年10月 ( 5 )
- 2020年3月 ( 2 )
- 2020年2月 ( 4 )
- 2020年1月 ( 3 )
- 2019年11月 ( 15 )
- 2019年10月 ( 21 )
- 2019年9月 ( 19 )
- 2019年8月 ( 21 )
- 2019年5月 ( 1 )
- 2017年12月 ( 1 )
- 2017年11月 ( 1 )
- 2017年10月 ( 1 )
- 2022.08.12
- 【社保適用拡大⑧】施行日から特定適用事業所に該当する場合のお知らせ
- 2022.08.08
- 【社保適用拡大⑦】施行日から特定適用事業所に該当する場合の手続きは?
- 2022.08.04
- 【社保適用拡大⑥】特定適用事業所に該当した場合の手続きは?
- 2022.08.01
- 【社保適用拡大⑤】「被保険者総数が常時100人を超える」とはどの時点で判断するのか?
- 2022.07.30
- 【随時改定①】月額変更が必要な場合とは?
- 2023.05.12
- 派遣会社の調査について
- 2020.12.28
- 年末年始休業のお知らせ
- 2016.12.24
- 年末年始休業のお知らせ