派遣ニュース

【労使協定方式の手順①】労使協定方式の概要   [2019.11.19]

「労使協定方式」においては、派遣元は、過半数労働組合又は過半数代表者(過半数労働組合がない 場合に限ります。)と、次の①~⑥の事項を定めた書面による協定を締結しなければなりません。

また、労使協定については、毎年度提出する事業報告書に添付し、あわせて労使協定の対象となる派 遣労働者の職種ごとの人数と職種ごとの賃金額の平均額を厚生労働大臣(都道府県労働局)に報告しなければなりません。

 

労使協定に定める事項は以下の通りです。

①労使協定の対象となる派遣労働者の範囲

②賃金の決定方法(ア及びイに該当するものに限る)

ア  派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上の賃金額であること

イ  派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に、通勤手当等を除く職務の内容に密接に関連して支払われる賃金が改善されること

③派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等を公正に評価して賃金を決定すること

④「労使協定の対象とならない待遇(派遣先が行う業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓 練と給食施設、休憩室及び更衣室及び賃金」を除く待遇の決定方法(派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で不合理な相違がないものに限る)

⑤派遣労働者に対して段階的・体系的な教育訓練を実施すること

⑥その他の事項

・有効期間(2年以内が望ましい)

・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合はその理由 ・特段の事情がない限り、1つの労働契約期間中に派遣先の変更を理由として、協定対象となる派遣労働者であるか否かを変えようとしないこと

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】労使協定の有効期間中に、一般賃金の額が変わった場合、労使協定を締結し直す?   [2019.11.18]

労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合には、有効期間中であっても、労使協定に定める派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額であるか否か確認することが必要です。


派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額でない場合には、労使協定に定める賃金の決定方法を変更するために労使協定を締結し直す必要があります。

一方で、派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額である場合には、派遣元事業主は、同額以上の額であることを確認した旨の書面を労使協定に添付する必要があります。

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】労使協定ではなく就業規則、賃金規程等に具体的な内容を記載してもよい?   [2019.11.15]

労使協定には具体的な内容を定めず、就業規則、賃金規程等に具体的な内容を記載する旨を定めても大丈夫です。

ただし、労使協定に定めるべき事項については、労使協定自体に具体的に定めなかったとしても、就業規則、賃金規程等に具体的に定めることにより、労使協定自体、就業規則、賃金規程等でこれらの事項を網羅的に定めることが必要となります。

また、派遣元事業主は、厚生労働大臣に毎年度提出する事業報告書に労使協定を添付しなければならないこととされているところ、労使協定自体ではなく、就業規則、賃金規程等に定められている場合には、労使協定本体に加えて、労使協定で引用している就業規則、賃金規程等もあわせて事業報告書に添付しなければなりません。

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】労使協定には、比較対象となる一般賃金の額を記載するが必要?   [2019.11.14]

労使協定には、派遣労働者の賃金の額のほか、その比較対象となる一般賃金の額を記載する必要があります。

一般賃金の額と同等以上である協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法を定めることとされているため、同等以上であることが客観的に明らかとなるよう、協定対象派遣労働者の賃金の額に加え、その比較対象となる一般賃金の額も記載することが必要となります。

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】派遣先が多く、派遣契約労使協定の過半数代表者の選出が難しいのですが?   [2019.11.13]

どのような理由にせよ、過半数代表者を選出しなければなりません。

その方法として、派遣労働者の賃金明細を交付する際や派遣元事業主が派遣先を巡回する際に、労使協定の意義や趣旨を改めて周知するとともに、立候補の呼びかけや投票用紙の配付をしたり、社内のイントラネットやメールにより立候補の呼びかけや投票を行わせることが考えられます。

また、派遣元事業主は、過半数代表者が労使協定の事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならないとされており、
例えば、
過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む。)や事務スペースの提供を行うことが含まれるます。
その他、時間外・休日労働に関する協定の締結や、就業規則の作成又は変更を行う場合にも、(過半数労働組合が存在しない場合は)当然に過半数代表者の選出が必要となります。

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】 複数の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能?   [2019.11.12]

複数の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能です。


ただし、待遇を引き下げることなどを目的として、数か所の事業所を一つの締結単位とすることは、
労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められないことになります。

 
また、この場合、比較対象となる一般賃金を算定する際の地域指数については、協定対象派遣労働者
の派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む都道府県又は公共職業安定所管轄地域の指数
を選択することになります。

さらに、数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とする場合、派遣労働者が多数となり、派遣先の業種、派遣先地域も多岐にわたって賃金体系等が複雑となり、複数の事業所の派遣労働者全体の利益を適切に代表する過半数代表者を選出することが困難となる可能性があることから、数か所の事業所を労使協定の締結単位とする場合には、過半数代表者が民主的手続に基づいて選出されるよう、特に注意が必要です。

仮に過半数代表者を適切に選出していないと認められた場合には労使協定方式が適用されず、派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡待遇を確保しなければならないことになります。

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】協定対象派遣労働者を限定するかどうかを労働者派遣契約に記載しないとダメ?   [2019.11.11]

労働者派遣契約には、「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別」などを新たに記載する必要があります。

施行日前から締結している労働者派遣契約については、労働者派遣契約を新たに締結し直すことまで求めるものではありませんが、施行日までに、労働者派遣契約の変更等により、新たに労働者派遣契約の締結事項となった「派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度」及び「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別」を労働者派遣契約に定めておかなければなりません。

【派遣の同一労働同一賃金Q&A】施行前に労使協定を締結してもよい?   [2019.11.08]

働き方改革関連法(平成30年改正派遣法)の施行日(2020年4月1日)前に、派遣元事業主が過半数労働組合又は過半数代表者との間で協定を締結することは可能です。
なお、この協定の効力が発生するのは、施行日以降であることに留意してください。

短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(労使協定方式の場合)   [2019.11.07]

① 賃金

<協定対象派遣労働者の賃金の決定方法等>
• 同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上の賃金の額となるものでなければなりません。
• 職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものでなければなりません。
• 協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、賃金を決定しなければなりません。

 

② 福利厚生 教育訓練

• 食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設(※)については、派遣先の通常の労働者と働く事業所が同一であれば同一の利用を認めなければなりません。
• 派遣元の通常の労働者との間で、転勤の有無等の支給要件が同一の場合の転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の利用・付与を行わなければなりません。
• 病気休職については、有期雇用でない派遣労働者には派遣元の通常の労働者と同一の、 有期雇用である派遣労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて取得を認めなければなりません。
• 法定外の有給休暇その他の休暇であって、勤続期間に応じて取得を認めているものについては、派遣元の通常の労働者と同一の勤続期間であれば同一の付与を行わなければなりません。なお、期間の定めのある労働契約を更新している場合には、当初の労働契約の開始時から通算して勤続期間を評価することを要します。
• 教育訓練であって、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施するもの (※)については、派遣先の通常の労働者と同一の業務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければなりません。
• 安全管理に関する措置・給付については、派遣元の通常の労働者と同一の勤務環境に置かれている場合には同一の措置・給付を行わなければなりません。


(※)上記の福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)及び現在の業務の遂行に必要な技能・知識を付与するための教育訓練は、労使協定方式であっても、労使協定の対象とはならないため、派遣元事業主は、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を確保する必要があります。
また、これらの待遇については、派遣先に対しても、利用機会の付与及び実施の義務が課されています。

短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(派遣先均等・均衡方式の場合)   [2019.11.06]

① 基本給

• 基本給が、労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数(派遣就業期間)に応じて支払うものなど、それぞれの趣旨・性格に照らして、派遣先の通常の労働者と実態が同一であれば同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

• 昇給であって、労働者の勤続(派遣就業の継続)による能力の向上に応じて行うものについては、派遣先の通常の労働者と勤続による能力の向上が同一であれば同一の、 違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければなりません。

 

② 賞与

• ボーナス(賞与)であって、会社(派遣先)の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、派遣先の通常の労働者と会社の業績等への貢献が同一であれば同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

 

③ 各種手当

• 役職手当であって、役職の内容に対して支給するものについては、派遣先の通常の労働者と役職の内容が同一であれば同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

• そのほか、派遣先の通常の労働者との間で、業務の危険度又は作業環境が同一の場合の特殊作業手当、交替制勤務等の勤務形態が同一の場合の特殊勤務手当、業務の内容が同一の場合の精皆勤手当、派遣先の通常の労働者の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った場合に支給される時間外労働手当の割増率、同一の深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率、通勤手当・出張旅費、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際の食事手当、同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当、特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当等については、同一の支給を行わなければなりません。

 

④ 福利厚生 教育訓練

• 食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設(※)については、派遣先の通常の労働者と働く事業所が同一であれば、同一の利用を認めなければなりません。

• 派遣先の通常の労働者との間で、転勤の有無等の支給要件が同一の場合の転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の利用・付与を行わなければなりません。

• 病気休職については、期間の定めのない労働者派遣に係る派遣労働者には、派遣先の通常の労働者と同一の、期間の定めのある労働者派遣に係る派遣労働者にも、派遣就 業が終了するまでの期間を踏まえて取得を認めなければなりません。

• 法定外の有給休暇その他の休暇であって、勤続期間(派遣就業期間)に応じて取得を認めているものについては、派遣先の通常の労働者と同一の勤続期間(派遣就業期 間)であれば同一の付与を行わなければなりません。なお、期間の定めのある労働者派遣契約を更新している場合には、当初の派遣就業の開始日から通算して就業期間を評価することを要します。

• 教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能・知識を習得するために実施するもの(※)については、派遣先の通常の労働者と同一の業務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければなりません。

• 安全管理に関する措置・給付については、派遣先の通常の労働者と同一の勤務環境に置かれている場合には同一の措置・給付を行わなければなりません。

(※)派遣先に対しても、上記の福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)及び現在の業務の遂行に必要な技能・知識を付与するための教育訓練について、利用機会の付与及び実施の義務が課されています。

 

<派遣先の通常の労働者と派遣労働者との間で賃金の決定基準・ルールの相違がある場合>

• 派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間で賃金に相違がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの相違があるときは、「派遣労働者に対する派遣元事業主の将来の役割期待は、派遣先に雇用される通常の労働者に対する派遣先の将来の役割期待と異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明ではなく、賃金の決定基準・ルールの相違は、 職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはなりません。

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